だが、淹れたてのコーヒーを求めてカフェやコンビニに足を運ぶと列ができていることが多く、手にするまでに時間がかかってしまう。結局、ペットボトルのコーヒーで我慢する、ということもしばしばだ。
そんな課題に対するソリューションとして、需要予測AIを搭載した無人カフェロボット「root C」を手がけるのがNew Innovationsだ。root Cは専用のスマホアプリと連動したカフェロボット。アプリから自分の好みのコーヒーをオーダーして決済を済ませておけば、指定した時間にサクッとテイクアウトできるのが大きな特徴となっている。
昨年8月に大阪・なんば(難波駅/なんばスカイオ)、今年3月には東京・丸の内(新東京ビル)にて実証実験を実施。先日、DEEPCORE、THE SEED CAPITAL、金融系大手企業などを引受先とした1.7億円の資金調達を実施するなど、本格稼働に向けて歩みを進めている。
なぜAIカフェロボットの事業に行き着いたのか。高校在学中にNew Innovationsを創業した、代表取締役CEOの中尾渓人に話を聞いた。
無人化することで「人と人のつながり」を増やしたい
代表の中尾は、14歳で自律型ロボットによる国際的な研究競技大会『RoboCupJunior』に日本代表として出場し、世界大会に入賞した実績を持つ人物。
5歳くらいの頃から電子工作やものづくりを始め、小学4年生からプログラミングによってロボットを制御することをしていたが、自律型ロボットを開発するにあたって、それなりの資金が必要と感じ、高校在学中にシステム開発事業を開始した。
当時、クラウドワークス等を通じたフリーランスエンジニアという働き方が盛り上がる中、ウェブ系のプログラミングを業務経験がない中、とりあえずスタート。見様見真似で始め、挫折を繰り返すも高校を卒業する頃にはクライアントを300社抱える事業へと成長。業務は主に中小企業の社内用システム、ウェブサイト開発、サーバー管理にまで広がった。
ロボットの開発費用を手にするために始めた事業だったが、プログラミングを熟知していく中で仕事は学校法人の寄付金や学費の決済システム構築にまで広がり、受験勉強に没頭する同級生をよそ目に取引先との電話が続く日々を送った。
このまま働き続けていては倒れてしまうかもしれない──そう感じた中尾は、ロボットの世界に戻る決意をし、高校在学中に起業。それがNew Innovationsだった。
「会社のミッションはあらゆる業界を無人化することです。ヒューマンtoヒューマンのコミュニケーションにリソースが割けるように、労働から人々を開放しようという思いでやっています。人間を排除するのではなく、人の必要性を改めて認識したからこそです」