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労働による不合理さがもっとも見られたのが飲食業界だった。「いま持っているスキルセットとビジネスの課題的に飲料業界の中でもコーヒーが適切だと感じた」と、中尾はいう。グローバルでも流通可能、そして高付価値商材の飲料はコーヒーしかなかった。



「root C」が取り組んでいることは大きく分けて2つある。1つは注文と決済とその料理に対するフィードバックがスマホアプリ内で出来るということ。そしてもう1つは人件費の無駄を省きながら、消費者のニーズに対して最適配分をするロボット化だ。

コーヒーの需要は大体、朝の出社時であったり、お昼休みであったりと決まっている。一方でお店は、暇な時間帯でも人員を割いており人件費が掛かり続けてしまう構造が存在する。そこにAIを活用した需要予測を用いることで無駄を省くことを可能とする。

美味しいコーヒーを手っ取り早く飲みたいニーズに応える


root Cは「無人カフェロボット」に目が行きがちだが、本質的な価値は「クラウドシステム」にある。消費者から入ってくるオーダーと供給のキャパシティを見極め、どの順番で商品が求められていくかを叩き出す。

「今の飲食業では、注文と決済と料理開始が一緒になっていないと基本的に動けない業界になっています。それを全部バラバラにして、時系列順に再配列している感じです」

Aさんが先にオーダーをしたからといって、Aさんの料理を先に作る必要はない。

中尾が目指すのは、ビジネス企画からハードウェアの設計製造開発、そしてクラウド側の開発、デザイン、マーケティングを1つの会社で完結する仕組みづくりだ。いずれは外注できる部分を見極め、最終的には「クラウドとロボットの知的財産だけを持つデータカンパニー」が目指すべきゴールだと認識している、という。

実証実験では、ソフトウェアスタートアップ的な開発サイクルでハードウェアを3カ月で生み出したため、まだまだ改善点は見られた。特に価格に関して、自動販売機で300円は高いという声も多かった。その反面、味に対する満足度は高かったのでその都度決済を行う形からサブスクリプション型のモデルへの変貌を検証していくこととなった。



今後は価格設定から対応する豆の種類を増やして、お客さんの好みにあったプッシュレコメンドが出来る機能なども導入を検討していく。

ターゲットとなるのはカフェインを取りたいが、ただのカフェインのお湯割では満足出来ない層だ。コーヒーにはパウチや缶という形で格安に飲める手段はいくらでもある。だが美味しいコーヒーを手っ取り早く飲みたい。そんなニーズに応えていくため、実証実験を繰り返し、人の流れをも読み取っていく。

文=新川諒 人物写真=小田駿一

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