ビジネス

2020.07.22

「ヒューマンオートノミー」の社会実装で もっと人は自由に生きられる

連続起業家・投資家 孫泰蔵


続いてtanQの森本佑紀さんです。

森本:小学生向けに、教科書の内容を基にしたゲームと通信教育サービスを提供しています。現代には、家庭環境によって学力に差が出るという課題があります。その解決策の一つがゲームです。学問をキャラクターで親しみ、同じテーマが好きな友達と「ポケモン」を交換し合う感覚で出会う。そして、最終的には、社会で未解決の問題にチャレンジしていくような姿を私たちは目指しています。大人がリモートできたとしても、次に問題になるのは教育。オンラインで授業自体はできても、異質な人と出会う経験は減ります。そこもセットで考えたいです。

:AIの発達で、暗記した正しい記憶を引き出す力が求められなくなりつつあります。教育のあり方を根本から考える時期に来ているのです。コロナで休校が続き、勉強するってどういうこと、と改めて考えるきっかけになりました。これから来る新しい世界で生きていく子どもたちのために教育をアップデートする必要があります。

コロナ禍で感じたのは、いままでの文明の終わりの始まりが来ているということ。資本主義の欲望の赴くままでは、地球環境は壊れてしまう。企業として儲ける以前に人として生きていけなくなるのです。私たちはいま、それを実感していると思います。

いま必要なのは、どういう未来にしたいのかを考えること。今回の起業家6人のように、その実現のために「よい問い」を立て続け、行動することだと思います。


孫泰蔵(Taizo Son)◎1972年生まれ。連続起業家であり投資家。テクノロジーを駆使して人間中心の持続可能な未来を創造することを目指し、投資や人材育成、コミュニティー創造などを手がけるMistletoeを創業。アジアにシリコンバレーを上回るベンチャー生態系を創ることを掲げ、国内外のベンチャー支援、育成に力を注ぐ。

tanQ◎ゲームで学ぶ通信教育「タンキュークエスト」を運営。教科書を基にしたボードゲームを毎月届けるサービスや、少人数で行う双方向型のオンライン授業、web会議のように食事の時間に他の児童と交流できるタンキュー食堂などを提供する。ゲームで親しみを持つことで、学問で子どもが世界とかかわるきっかけをつくることを目指し、家庭環境にかかわらず学問に興味がもてる環境をつくる。

文=揚原安紗佳

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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