ビジネス

2020.07.26

AIで「食品ロスの削減」目指すベルリンのスタートアップ企業

Justin Sullivan/Getty Images

世界では数億人にのぼる人々が飢餓状態に置かれている一方で、膨大な食料が廃棄されている。この問題をAI(人工知能)で解決しようと立ち上がったスタートアップが、ベルリンに本拠を置く「SPRK.global」だ。

同社は世界が抱える課題の解決を目指すコンペティション「Extreme Tech Challenge」で、8社の受賞企業のうちの1社に選ばれた。

SPRK.globalはAIを用いて食料のサプライチェーンの問題を把握し、飢餓をなくすと同時に過剰な生産や供給を抑えようとしている。同社CEOのAlexander Piuttiは「世界で生産される食料の半分が、廃棄されている。サプライチェーンのパターンを把握することでその原因を突き止め、食品ロスを抑えられる」と話した。

食品ロスは人道的問題であると当時に、環境に関わる問題でもある。過剰生産は石油や水、肥料などを無駄に消費し、地球温暖化を早めることになる。さらに、余った食料を埋め立てることで、さらなる二酸化炭素が発生する。

SPRK.globalはAIを用いて食料のサプライチェーンの問題を把握し、過剰生産や供給を抑えていく。さらに、フードバンクなどのNGO(非政府組織)の試みを支援する。

NGOの多くは電話やエクセルシートなどの古びたテクノロジーを用いて運営されているが、ここに最新のソフトウェアを導入することで、食料の調達オペレーションの効率を上げ、調達コストを削減することができる。

「当社のテクノロジーを用いて、余った食料とそれを必要とする組織をマッチングすることで、食料の仕入れコストを大幅に抑えられる」とPiuttiは話した。

かつてヤフーに在籍していたPiuttiにとって、SPRK.globalは2社目に立ち上げたスタートアップだという。「NGOの食料調達コストを50%削減し、食品ロスの問題を改善することで、当社は利益をあげる。これは全ての人々にとってメリットとなる取り組みだ」と彼は話した。

SPRK.globalはベルリンから活動を始めたが、今後は米国やアジアへの進出も目指している。食糧問題を解決するための巨大なクラウドベースのプラットフォームを構築するのが、同社のゴールだという。

Piuttiは、同社のプラットフォームが将来的に、各国のNGOだけでなく、大手の食品メーカーや物流の現場でも活用されることを望んでいる。

「大手の食品メーカーやサプライチェーンは、農場の生産状況や、スーパーマーケットでの販売状況を把握し、在庫切れや過剰供給を起こさないよう、リアルタイムで動向を把握する必要がある」と、Piuttiは続けた。

編集=上田裕資

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