米国では秋の学校再開に向けての動きが進んでいるが、これは非常に気がかりな兆候と言える。
今回の論文はCDCが査読済みの論文を掲載する学術ジャーナルの「Emerging Infectious Diseases」で公開予定となっており、その一部が先行リリースされた。
研究者らは韓国で学校が閉鎖されていた1月20日から3月27日にかけて、5706人の新型コロナウイルス感染症の発症者を調査した。これらの人々は、彼らの家庭内で最初に症状を発症した人々で、研究者は全ての接触者を調査し、感染の広まり方を把握した。
その結果、10歳から19歳の若者が、家庭内で最初に発症するケースは多くはないという。しかし、彼らが最初に発症した場合、接触を持った人々の18.6%がウイルスに感染しており、その比率は他の年齢層の2倍に及んでいた。
対照的に、9歳以下の子供は家庭内で感染を広げる力が最も弱く、接触を持った人々の5.3%しかウイルスの陽性反応を示していなかった。家庭内で感染を広げる力が2番目に強い年齢層は70歳から79歳で、接触を持った人々の18%がウイルスに感染していた。
3番目は60歳から69歳で、接触を持った人々の17%が感染していた。
さらに、家庭の外での感染拡大動向については、最も感染を拡大させるのは70歳から79歳の年齢層であり、家族以外の接触者の4.8%を感染させていた。
論文の執筆者らは、今回の調査は無症状の感染者を対象としていないため、欠点もあるとしているが、ハーバード大学のHarvard Global Health InstituteのAshish Jha博士はニューヨーク・タイムズ(NYT)の取材に「これまで実施された研究の中で、最も優れたものの一つと言える」と話した。
今回の研究結果は、米国において学校の再開を巡る問題が政治的議題に発展する中で報じられた。トランプ政権は学校の対面での授業を再開させようとしており、大統領はCDCがさらに厳格なガイドラインを設けようとしていることを批判した。
各地の学校は政府の決定に先立ち、独自のルールを定めようとしており、ニューヨーク市などでは一部の学校が対面の授業を再開させるが、ロサンゼルス市などでは全面的にオンライン授業に切り替える動きが起きている。
学校の再開がもたらす影響は、国ごとに異なっている。米国よりも感染拡大が抑えられているフィンランドやデンマークでは、学校の再開がアウトブレイクにはつながらなかった。一方、韓国やイスラエルでは学校再開後に、感染者が急増した。