「らしさ」と「べき」。その両者とうまく付き合うコツとは何か。フューチャリストの尾原和啓氏は、「大切なのは、“らしさ”と“べき”の間で、バランスを取り続けることではないか」と、新著『あえて数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略』のなかで語る。
7月初旬、同書の発刊を記念して、尾原氏とForbes JAPAN Web編集長・谷本有香がインスタグラムライブを開催。「アフターコロナの生存戦略 」と題した対談で、自分らしさとの付き合い方、らしさを打ち出してグローバルでも活躍していく秘訣を語った。(前回の記事はこちら)
自分らしさにこだわると、世界が半分になる
谷本有香(以下、谷本):尾原さんはたびたび、「自分らしさとの付き合い方」について語られています。今回のインスタライブに際し、読者から「尾原さんはメンタリングやコーチングを受けていますか?」という質問がきているのですが、いかがでしょう。
尾原和啓(以下、尾原):積極的に受けています。僕は、自分から遠い場所や立場にいる方からメンタリングを受けることで、自分の視野が狭くなっていることに気づかせてもらう機会を作ることが大事だと思っています。
僕にとって1番のメンタリングの師匠は、けんすうさんなんですよ。年齢的に彼は10ぐらい下なのかな。僕も、自分のこだわりに囚われて「キー!」となるときがあるので、そのたびにけんすうさんがたしなめてくれるんです。
「尾原さん、牙は磨くもので剥くものじゃないですよ」って。「牙はこっそり磨くもの、理想の牙は相手に向かって見せない牙だよね」みたいなことを、たった一言、LINEで送ってきてくれるんですよ。
一方で、コーチングも受けています。これは本にも出てくる話ですが、個性や自分らしさって、付き合うのが難しいんですよ。「これが自分らしさ」と決めてしまうと、自分のエネルギーになる一方、そこにこだわると今度は自分らしくない選択を捨てることになる。
ある時、僕は、「人は自分らしくなった時点で、世界が半分になる」と師匠にいわれてドキっとしたんです。つまり、変化の時代に世界を半分で冒険することになるからもったいないんだと。
つまり、自分らしさを守りながら、自分らしくない選択の中から「新しい自分らしさを作っていく」というバランスが大事になってくる。ただ、こればかりは頭で理解してできることでもないので、コーチングの先生にそばに併走していただかないと難しいですね。