白人警官による暴行で黒人男性が死亡したジョージ・フロイド事件をきっかけとするこの抗議活動が拡大した同月は、シェイクシャックにとっては特に打撃が大きかった。だが、同社にとっの問題があったのは、この月だけではない。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて実施された外出制限と店舗の閉鎖により、既存店売上高は今春以降、激減している。同社によれば、第2四半期(4~6月)の既存店売上高は、前年比で48%の減少となった。
投資家たちは、同社の経営状況に関するこの発表を悲観的に受け止めている。株価は7日、大幅に下落。52週高値が105.84ドルであるのに対し、50ドル前後にまで下げた。
積極的に対応
シェイクシャックの店舗のうち、多くを占めているのはショッピングモールに入居しているもの、都市近郊に開設しているものだ。感染対策としてこれらの店舗で提供するサービスが制限されたことから、同社は持ち帰り専用の窓口を増やしすなどしてきた。
そうしたなかで、シェイクシャックにとってもう一つの問題となったのが、ドライブスルーの店舗がないことだった。同社は5月、事前に注文を受けた商品を車から降りることなく受け取ることができる方法を検討中だと表明。同社のウェブサイトによれば、現在はすでに“大半の”店舗で、カーブサイド・ピックアップのサービスが利用可能になっているという。
同社はそのほか、自宅で「シャックバーガー」が作れるキットを開発。食品専門のECサイト「ゴールドベリー」を通じた販売を開始した。ハンバーガー8個分の材料が入ったこのキット(トッピングは別に用意する必要がある)の価格は、送料別で49ドルだ。
成長機会に期待
シェイクシャックは第1四半期中に17店舗、第2四半期に6店舗を完全に閉鎖した。感染対策のため営業時間を短縮しながら、店内での飲食が可能な形で営業している店舗は全体のおよそ60%だ。
こうした状況の一方で、同社は店舗の新規開店を継続している。第2四半期中にはカリフォルニア州サクラメントとロサンゼルスの2カ所に加え、ノースカロライナ州シャーロット、ミズーリ州セントルイスのそれぞれ1カ所に店舗を開業。店舗数は現在、167となっている。
同社のランディ・ガルッティ最高経営責任者(CEO)は発表した声明で、「売上高は徐々に回復しています。そうしたなかで、新規店舗の開業を再開しました。シェイクシャックには今後、多大な成長の機会があると見込んでいます」と述べている。
シェイクシャックによると、同社の手元資金は約1億8400万ドル。キャッシュバーン(現金燃焼)は週当たりおよそ20万ドルだという。
一方、シェイクシャックは4月、新型コロナウイルスの感染拡大によって打撃を受けた小規模企業の給与の支払いを支援するための連邦政府の制度を利用。1000万ドルの融資を受けたものの、(事業の規模からみて適切ではないとして)厳しい批判を受けたことから、借り入れた資金を返却している。