パランティアは上場申請書類を秘匿扱いで提出しており、ごく限られた情報しか開示してない。声明には次のように記載されている。「パランティア・テクノロジーズは、当社のクラスA普通株式の公開に向けた申請書類を、SECに内密に提出していたことを本日開示する。上場はSECが市況やその他の条件を考慮に入れ、審査を完了した後に行われる」
パランティアはここ最近、政府と共に新型コロナウイルスのパンデミックとの戦いを進めており、米国や英国の医療関連大手と契約を結んできた。投資家のピーター・ティールが立ち上げた、シリコンバレー本拠の同社の企業価値は200億ドル(約2兆1500億円)に及ぶとされている。
フォーブスは、パランティアがCDC(米国疾病予防管理センター)などの機関と緊密な連携をとり、感染拡大に立ち向かううえで必須となる、包括的で正確な情報の入手を手助けしていると、以前の記事で伝えていた。
また、英国のNHS(国民保健サービス)においてもパランティアのツールが利用され、病院のキャパシティや人工呼吸器の利用状況の把握などに役立てられている。
一方で、パランティアは以前から政府の監視活動を手助けしているとの批判も浴びており、合衆国移民・関税執行局(ICE)が同社のツールで不法移民の捜査を行ない、人権侵害を行っているとして、市民団体が強く抗議していた。
パランティアは先週、SECにフォームDと呼ばれる書類を提出し、追加で9億6000万ドルの資金調達を進めていると伝えていた。また、このうち5億5000万ドルを既に調達済みであるとしていた。
日本のSOMPOホールディングスは6月、パランティアに5億ドルを出資すると宣言していた。また、富士通も5000万ドルの出資を宣言した。
パランティアはパンデミックへの対処や、移民の捜査以外の分野でも数多くの政府系のプロジェクトを手がけており、SECとも今年6月に670万ドルの契約を結んでいた。また、合衆国内国歳入庁(IRS)やアメリカ沿岸警備隊とも巨額の契約を結ぼうとしている。
パランティアの社名は、「指輪物語」に登場する何でも見通すことができる水晶玉に由来し、911テロの首謀者とされたウサマ・ビンラディンの捜索にも同社のツールが用いられたとされる。
パランティアを2003年に創業したのは、トランプ政権を影で操っているとされる投資家のピーター・ティールだ。ティールはスタンフォード大学の友人だった哲学研究者のアレックス・カープをCEOに招き、同社を設立した。
パランティアが上場を計画中であるとの噂は数年前から囁かれていた。これまで累計26億ドルを調達した同社のIPOへの期待が高まっている。