こうしたデジタル・ディバイド(情報格差)について、国際通貨基金(IMF)が公式ブログに新たな記事を投稿。「各国の国内、あるいは国と国を引き裂くキャズム(分断)と化している」との危機感を示した。
IMFのこのブログ記事によれば、世界人口の半分は、モバイルデバイスと固定ブロードバンド回線のどちらによっても、全くウェブにアクセスできない状態にあるという。
IMFの財務局副課長メルセデス・ガルシア=エスクリバーノ(Mercedes García-Escribano)はこのブログ投稿で、「(インターネットへの)アクセス可能な人の割合が最も高いのは、米国やフランス、ドイツ、英国、カナダなどの先進国だ」と記し、さらにこう続けている。
「経済規模の大きな新興国では、人口に占めるインターネットユーザーの割合に大きなばらつきがみられる。普及が進んでいるブラジルやメキシコではこの割合が約3分の2に達している一方で、インドでは3分の1にとどまる」
「インターネット普及率が最も低いのはサハラ以南のアフリカ諸国であり、アジアの新興国や発展途上国がそれに続く。だが、モバイル決済に関しては、サハラ以南のアフリカ諸国は世界をリードしている」
では、この問題に対してどのような対策が可能だろうか? これほど重大な問題に立ち向かう手段は、大がかりな公的支援の裏付けを得た民間部門の大規模な投資しかないと、IMFは主張する。
「政府の支援が不可欠だ。例えば、インターネットへの投資を、電力の全戸への供給で補完するといった支援だ」と、ガルシア=エスクリバーノは記している。
「加えて、補助金が必要なケースもあるだろう。目標は、恵まれない階層や農村、へき地に住む人々を含めたすべての世帯が質の高いインターネット接続を利用できる環境を確保し、デジタルなジェンダーギャップの発生を防ぐことだ」
ガルシア=エスクリバーノはさらに、エルサルバドルやマレーシア、ネパールの政府が、新型コロナウイルス・パンデミックへの対応として、インターネット利用料の減免、あるいは支払免除制度を導入したことも指摘した。