だが東京都では7月2日、1日あたりの新型コロナ・ウイルス感染者数が107人と発表され、2カ月ぶりに100人を突破。まだまだこの騒動の終息が遠い先である現実を突きつけられるようだった。
観客動員再開しても「感染ゼロ」が保証される訳ではない
医療の専門家でもない私が、感染者数の増減に一喜一憂するのはいかがなものかという考えではあるものの、こうした現状の中、スタジアムに観客を入れた試合の決行は、少々時期尚早ではないかとは考えている。
会場で感染者が広まるような事態となれば、せっかく再開されたシーズンも打ち切りなどの憂き目に合わないとは限らない。有効ワクチンなどのない今、どれだけ感染予防策を講じたところで「ゼロ」が保証されるものではない。「ゼロ」実現が可能なら、そもそも世間で新たな感染者が出るはずもない。
7月10日より観客動員が予定されていると言うが、無観客試合をまだまだ継続すべきだと考える。
テレビ観戦し、中には「観客がいないから練習試合みたい」とこぼすファンもいる。しかし無観客試合も、それはそれでなかなか目新しい。
野球では、審判がプレーをかける声から、ピッチャーが投げる際の唸り声、ボールがキャッチャーミットに収まる鈍く重い音、またホームランが生まれる際の乾いた小気味良い打撃音......どれをとっても、これまで隠れていたプロ野球の醍醐味であり、あまりにも新鮮だ。サッカーもしかり。プレーヤーがピッチを駆け回る音、選手間の掛け声、強烈なシュートがゴールポストに弾かれる衝撃音など、普段はサポーターの声に打ち消されている、ナマ音を堪能できる。
新型コロナが終息し、10年も20年も経った頃には、現代史の生き証人として「あの時代のスポーツ観戦は......」と、こうした無観客試合を振り返る時期がやって来るかもしれない。こんな時代だからこそ、起こり得る事象をポジティブに受け取り、楽しむ心の余裕を持ちたいものだ。
そうは言っても観客動員による興行そのものがスポーツの収益源ゆえ、無観客試合継続は経営危機でもある。日本よりも感染の影響が大きいアメリカでは、ひと足もふた足も遅れ7月下旬、やっとMLBが開幕にこぎつける。