ところが2007年、マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士課程在籍中にその考えは大きく変わる。
「地政学や気候変動、大気汚染など、自動車が生み出す問題の数々に気づき、葛藤を覚えたのです」
そこで当初の計画を破棄し、テスラのような電気自動車の開発を目指すことにした。
それから13年、アマゾンやフォードによる大型出資もあり、スカリンジの夢が実現しようとしている。
09年に創業した電気自動車メーカー「リビアン」が今年、ピックアップトラックの「R1T」と、SUVの「R1S」の生産を始めるからだ。価格については、R1Tが6万9000ドル、R1Sは7万2500ドルを想定している。
まだ工場で生産ラインを準備中だが、スカリンジは自信を見せる。
「20年代半ばには、年間25万台製造できるようになりますよ」
RJ・スカリンジ◎米電気自動車メーカー「リビアン」の創業者兼CEO。マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号を取得後、2009年にフロリダ州メルボルンでリビアンの前身となる会社を創業。19年には、アマゾンやフォード、T・ロー・プライス、コックス・オートモーティブから計29億ドルを調達。今年の後半からの生産開始を発表している。