Apple Pencilによる作業効率もアップする。iPadOS 14が新しく搭載する「スクリブル」機能を使うと、検索ボックスに手書きした文字が自動的にデジタルタイピングに変換されたり、メモなどのアプリでApple Pencilを使って手で書いた文字をコピー&ペーストして、ほかのドキュメント作成アプリに貼り付けることもできるようになる。スクリブルを最初にできる言語は英語と繁体字・簡体字の中国語。漢字に平仮名、片仮名が入り交じる日本語への対応はしばらく先になるだろうか。
iPadOS 14のスクリブル機能は英語と中国語から対応が始まる。
アップル独自のARのフレームワークは今年「ARKit 4」をリリースする。最大の進化は今年3月に発売されたiPad Proが搭載するLiDARスキャナを活用するアプリやサービスが開発できるようになることだ。新たに提供するDepth APIにより高精度な深度情報を取り込み、例えば衣服のバーチャルフィッティングやインテリアのコーディネーションなど実用性の高いARアプリをデベロッパは開発できるようになるだろう。ARの表現を活かしたゲームやエンターテインメント系のアプリも出てくるだろう。新型コロナウイルスの影響に苦しむ展示会ビジネスの分野にも、表現力豊かなAR展示を実現する新たな活路が開かれることを期待したい。
iPhone・iPadユーザーが欲しくなるMacに
Mac向け最新OSは名称を「macOS Big Sur(ビッグサー)」とした。メジャーバージョンの通し番号も約20年ぶりに繰り上げられ「macOS 11」になる。
通知センターやアイコンの表示をiOS/iPadOSに近づけたmacOS 11。
大胆に一新されたデスクトップやアイコンのデザインは、macOSとiOS・iPadOSの親和性を強調するものに生まれ変わっている。Dockに格納されているメールやメッセージを見れば明らかだ。アップルでは昨年、iOSやmacOS向けのアプリを開発するデベロッパ向けに、ロイヤリティフリーで利用できるベクターベースのアイコンアセットである「SF Symbols」の提供をはじめた。今後はサードパーティーのアプリやサービスのデザインも、自然とテイストが揃っていくのではないだろうか。
macOSのアプリは中身のデザインもよりiPad、iPhoneのテイストを帯びていくだろう。原動力になるのはMac Catalystと呼ばれるフレームワークであり、デベロッパがiPad用として開発したアプリをmacOS用に移植する作業を力強くサポートする。