経済・社会

2020.06.27 07:00

コロナ禍で流通する食肉、安全性は保たれているのか?


だが、焼き方をレアにしたステーキなどの場合はどうだろうか? 仮に新型コロナウイルスが何らかの理由で肉に付着していたとしても、それは肉の表面に付いたものであり、フライパンでさっと焼いただけも表面は十分な高温にさらされることから、その他のウイルスやバクテリアと同様に、死滅すると考えられる。

一方、タルタルステーキなどの生肉を使った料理には、心配はないのだろうか? これについても博士は、明確にそうだと証明する具体的な証拠はないものの、「おそらく心配はない」との見方だ。現在のところ、生肉など調理していないものを食べて新型コロナウイルスに感染したとの報告はないという。

より心配すべきものがあるとすれば、それは肉のパッケージかもしれない。容器の表面上で、数日間は生きている可能性がある新型コロナウイルスは、冷蔵庫内の温度ならさらに長く生きるとも考えられる。

ただ、ラスムセン博士はこの可能性についても、輸送され、実際に消費されるまでの時間を考えれば、感染源になる危険性は低いとの見方を示している。スーパーマーケットの棚に並ぶまでには、感染力は失われていると考えられる。さらに、手指を衛生的にしておくことに注意すれば、さらに感染の危険性は低くなる。

環境や費用、健康の問題など、食肉の消費量を減らすべきだと考えるもっともな理由はいくつもある。ただ、食肉から新型コロナウイルスに感染するリスクは低く、それを心配することはないと考えてよさそうだ。

編集=木内涼子

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