「観客動員」以外の軸も──横浜DeNAベイスターズが模索する、withコロナ時代の球団経営

横浜DeNAベイスターズが本拠地・横浜スタジアムで開幕を迎える


──入場料収入が見込めない状態で、球団オリジナル醸造ビールの通販、オリジナルフードのデリバリーサービスも開始されています。

ニューノーマルと呼ばれる新しい生活様式になり、フードデリバリー業界が活気づいていることは聞くので、私たちもフードデリバリーサービスを始めてみました。



色々なことを試行錯誤していますが、想像以上に大きな課題となっているのはグッズの売上です。グッズのECサイトはあるのですが、コロナ禍の状況でECでの売上が昨年並みかと聞かれたら、全然そんなことはありません。公式戦がなく、試合結果にもとづいた限定のTシャツやタオルが販売できていないといった原因で売上が落ちているのだけではなく、ユニフォームや選手名タオルなどの定番商品の売上が落ちています。

観戦の予定が決まった方が観戦に向けて購入したり、観戦をきっかけに特定の選手のファンになってグッズを買う・次回の観戦時に向けて購入するなど、試合観戦に連動した売上がなくなった影響が大きいです。オンラインの売上だから、試合の有無に影響を受けないわけではなく、かなり連動をするという状況です。

球場に足を運べない中で、いかに横浜DeNAベイスターズに触れてもらえるか。観戦以外でのタッチポイントを増やしていかなければいけない、と思いましたね。今後、同じようなことが起きたら会社全体が止まってしまうことになりかねない。

球団オリジナル醸造ビールが、神奈川県の地ビールとして定着したら、試合の有無に関係なく地元の居酒屋で飲む文化が作れるかもしれない。球場に足を運べないことが、ダイレクトに影響を及ぼすことがないような新たな球団経営の軸も作っていける気はしているので、中長期的にはそういったことも取り組んでいけたらと思っています。



──無観客での開幕が一体どんなものなのか、未知の状態が続くと思いますが、今後の取り組みも楽しみにしています。

球団として、いろんな取り組みも考えていきますが、やはり勝ってファンを喜ばせることがスポーツ本来の価値だと思っているので、こういう状況だからこそ1試合ごとに盛り上がるペナントレースで最後には横浜DeNAベイスターズが優勝したらいいなと思います。

野球を届けることができることは、ファンにとっても大きな喜びだと思いますし、我々にとっても大きな喜びです。ファンの方々の喜びも考えながら、引き続き、社会に元気を与えていきたいと思っています。

文=新國翔大

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