ビジネス

2020.06.23 08:30

誰もが「世界に貢献する投資」を|私がこの起業家に投資した理由


杉山:出資いただく条件として、木村さんから「手数料体系の透明化」について指摘をいただきました。それは、当時の当社がフィデューシャリー・デューティ(顧客本位の業務運営)をより一層強化するきっかけにもなりました。投資後も、さまざまなシナジーの可能性を検討するなど支援いただいています。

今後は、「世界に貢献する投資」とうたう私たちの金融商品を、LINEのサービスに乗せていただけるように、ファンドの仕組みをより強固なものにしていきたい。もう一つは、中長期的な目標ですが、応援したくなる商品のバリエーションを増やすこと。SDGsの17目標のうち、1~7がクラウドクレジットに近しい領域ですが、1の貧困削減や5のジェンダー平等、7のエネルギーをみんなにというところはすでに取り組んでいますが、まだの領域も多い。世界中から応援したくなり、資金需要のある事業者たちを見つけて、新たな国や領域でも数多くのファンドを作りたいと思っています。

木村:LINEグループとのシナジーも活用し、さまざまな人たちが当たり前にクラウドクレジットの商品を買う世界ができたらと思っています。そのためには「買うと儲かる」「何パーセントの利回り」ではなく、「面白そう」とクリックして見たら「こんなこともやっている。応援してみたい。しかもリターンも出るんだ」とシームレスに「ワクワク」する体験につながることが大事。どうしたらそれが実現できるか一緒に考えながら、支援していければと思います。


きむら・まさひろ◎LINE Venturesプリンシパル。東京大学大学院工学系研究科修了。チームラボを経てグリー入社。戦略企業部にて資本業務提携、M&Aに従事。その後、新生銀行のVC部門である新生企業投資でフェムトパートナーズ担当としてシードからレイターまで対象にVC投資を行う。主な投資先は、エイチーム、ウェルモ、Scalar、Hubbleなど。

すぎやま・ともゆき◎クラウドクレジット代表取締役CEO。東京大学法学部卒業後、大和証券SMBCに入社。その後、ロイズ銀行東京支店に入行し、資金部長として支店経営陣に対して日本での事業機会の助言を行い、運用子会社の日本における代表および運用責任者として日本国債および海外社債などでの運用を行う。13年1月、クラウドクレジットを設立。

文=山本智之 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

私がこの起業家に投資した理由

ForbesBrandVoice

人気記事