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2020.06.22 07:30

スタートアップ投資はすべて「未来の保険事業」のために

三井住友海上火災保険デジタル戦略部は、デジタル戦略部長の本山智之(写真中央)をはじめ、78名がデジタル技術を活用した商品・サービス開発や新規事業開発などに取り組む

三井住友海上火災保険デジタル戦略部は、デジタル戦略部長の本山智之(写真中央)をはじめ、78名がデジタル技術を活用した商品・サービス開発や新規事業開発などに取り組む

オープンイノベーションを推進する大企業が集うコミュニティ「α TRACKERS」。Forbes JAPANは、α TRACKERSと、国内CVC・オープンイノベーションの「先進事例」にフォーカスした短期集中連載を行っている。今回は、三井住友海上火災保険とMS&ADインシュアランスグループのスタートアップ投資・連携の取り組みについて聞いた。
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MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険は2018年4月、デジタル技術を活用した商品・サービス開発の検討や、保険業界の枠組みにとらわれない新規事業の創出、新しい事務オペレーションを構築するため、デジタル戦略部を新設した。同社は現在、同部署にて、協業が検討できるスタートアップへ投資し、オープンイノベーションを推進している。同社は19年に、DXの推進拠点として、東京とシンガポールにグローバルデジタルハブを開設するなど、積極的に活動をしている。

「保険会社は究極的に、倒産せずに、サステナブルな企業であることが重要です。そして、安定的に事業を運営し、拡大していくことが重要な使命になります。なぜなら、お客さまには安心して、保険に加入していただくためで、かつ、世界中から多くのお客さまに支持されればリスクが分散されて、結果的に、世界の皆さまのお役に立ち、社会的課題の解決にもつながるからです。これを実現するためには、新しいテクノロジーを常に学んでいくことが必要不可欠です」と話すのは、デジタル戦略部長の本山智之だ。

現在、本山が率いるデジタル戦略部では、3つの方針を打ち出している。ひとつ目は、テクノロジーを活用した顧客の新規ビジネスに対応するための挑戦。ふたつ目が、本業の保険事業における新しいビジネスモデルの創造。そして、三つ目が業務の生産性を高めるためのイノベーションの推進だ。
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「例えば、ドローンが落ちたとき、どのような補償をするのか─。そのほかにも、宇宙・ロケット事業や自動運転事業といった、新たなテクノロジーを活用する事業に挑む皆さまに、どのようなサービスを提供できるか、が重要です。保険会社が新しいテクノロジーを学ばないと、お客さまの新ビジネス、新リスクに対応できませんから」(本山)


東京とシンガポールに設立したグローバルデジタルハブではDX推進のためのワークショップなどが開催される

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、グループ全体で3兆5000億円近い売上高と4万人近い従業員数を誇る。現在、同グループのスタートアップ投資への取り組みは次の通りだ。

ひとつ目は、三井住友海上キャピタルだ。同社は国内外の未上場企業を対象にしたVCファンドで、総額約350億円の運営ファンドを持つ。同ファンドは約80社のスタートアップに投資をし、19年には投資先の医療・介護関連の人材採用システムを手がけるメドレー、個人投資家向け情報サイト運営のミンカブ・ジ・インフォノイドがIPO(新規株式公開)した。

その中には、三井住友海上火災保険も出資者となり、同社のデジタライゼーション戦略に有益なスタートアップ企業に投資をするための10億円規模の「MSデジタルファンド」も含んでいる。「(デジタルファンドは)企業名や金額は非公表だが、すでに3社に投資済みだ」(本山)。
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文=フォーブス ジャパン編集部 写真=若原瑞昌

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