外国人が選ぶ2010年代傑作日本アニメ10選 『暗殺教室』も

外国人が選ぶ2010年代傑作日本アニメ10選(2014・15年)

2010年代は世界の日本アニメファンにとって、今後も古典として語り継がれることまちがいなしの名作が数多く生み出された豊作続きの10年だった。そのなかから1年ごとに5作品、合計50本。今回は、2014年と2015年のベストアニメ10本を紹介する。

2014


『月刊少女野崎くん』(動画工房)


佐倉千代は同級生の野崎くんが、少女向け恋愛漫画の売れっ子漫画家であることを知る。ところが、ふたりの間に愛情が育つにつれて、彼の漫画はすばらしいのに、本人は恋愛に無知で不器用なことに千代は気づく。野崎くんは漫画のアイデアを学校生活の中に探しているが、彼のしでかす失敗のおかげで本作は恋愛漫画の愉快なパロディになっている。


恋愛漫画家にしては、野崎くんはあまりロマンチックではない

『ピンポン』(タツノコプロ)


良質なスポーツ・アニメの例にもれず、この作品では卓球がドラマの展開と切っても切れない関係にある。監督の湯浅政明は、卓球という動きの速いスポーツにぴったりの超写実的手法を採用することで、驚くべき華麗さと、せつなくなるほどの人間らしさが共存する作品を作りあげて新境地を開いた。スマイルやペコ、さらには彼らのライバルもみな意外な理由で卓球に引き寄せられ、それぞれが勝利をつかむために個人的な悩みに立ち向かわなければならない。


湯浅監督の印象的な画像が『ピンポン』をポップな作品にした

『ハイキュー!!』(Production I.G)


バレーボールをやるには背が高くなければいけないなんて、誰が決めたんだ? かつて烏野高校のバレーボール部にいた「小さな巨人」という小柄なヒーローに刺激を受けた日向(ひなた)は、同じ部に入って名を上げようと決意する。だが、中学校時代に痛い目に合わされたライバルも入部したことを知ってショックを受ける。バレーボールはチームスポーツだから、チームの成功はふたりが協力しあえるかどうかにかかっているのだが……


オレンジ色の髪の日向は小柄だが、決意は固い

『寄生獣セイの格率』(マッドハウス)


宇宙からやって来たパラサイト寄生エイリアンが人体に住み着く。人間を餌にするのに便利だからだ。高校生の新一は脳に入り込まれないように、とっさの判断でエイリアンを右腕に寄生させ、二つの生物はどちらも生き延びるために不安定な協力関係を築かざるを得なくなる。このアクションたっぷりのスリラーに出てくる歪んだ共生の恐怖に耐えるには、強靱な胃が必要かもしれない。


ミギーという名の異生物が新一の右手に寄生する

『SHIROBAKO(シロバコ)』(P.A.WORKS)


原画マン、動画マンなどのアニメーター、脚本家、声優、演出家、プロデューサーといったアニメ制作にかかわる人々を描いたテンポの速いこの作品は、あなたのお気に入りのアニメ番組がどんなふうに作られるのか、その一端を教えてくれる。アニメの制作進行係の仕事に追われて疲弊した20代の女性主人公あおいが、アニメ制作の現場に人間の表情を与えている。興味深い業界の内幕と、大人になりかけた若者の不安を描いた真に迫るストーリーが表裏一体となった作品だ。


『SHIROBAKO(シロバコ)』のあおいは働き者の制作進行係だ

(今回は選ばれなかったが、2014年ではこの作品にも注目だ。『ベイビーステップ』(ぴえろ)、『銀の匙 Silver Spoon』(A-1 Pictures)、『スペース☆ダンディ』(ボンズ)、『暁のヨナ』(ぴえろ))
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翻訳・編集=中田しおみ、S.K.Y.パブリッシング

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