スモールビジネス向けのデータプラットフォームのComparisunは昨年9月、ベゾスの保有資産額が2026年までに1兆ドルを突破するとのレポートを発表していた。同社はニューヨーク証券取引所に上場する有力企業の時価総額や、フォーブスの富豪ランキングで25位までに入ったビリオネアの保有資産を分析しデータをまとめた。
その結果、世界トップの富豪らの中で、最短で保有資産1兆ドルを達成するのがベゾスだとされた。2位には中国の不動産分野の富豪の許家印（Xu Jiayin）が入り、アリババのジャック・マーやテンセントのポニー・マーらがそれに続いていた。
しかし、ベゾスの保有資産が1兆ドルを超えるのは、昨年9月のComparisunの予想よりもずっと先のことになりそうだ。
フォーブスは現在56歳のベゾスの保有資産を、1430億ドルと試算している。アマゾンの株式11.2%を保有する彼の保有資産は、今年3月時点で約1250億ドルだった。ここ数カ月でEコマースやストリーミングの売上を急拡大させたアマゾンは、パンデミックの追い風を受けた企業の筆頭にあげられている。
アマゾンの今年第1四半期の売上は750億ドルを超え、前年同期の600億ドルを大きく上回った。この先、感染拡大の第2波が到来すれば、同社の売上はさらに拡大するかもしれない。
しかし、アマゾンの株価は今年に入り28％以上も上昇したが、ベゾスは今年4月に「創業以来で最も困難な状況に直面している」と述べた。3月から6月の営業利益は40億ドルに達する見通しだが、同社はその全額を新型コロナウイルス関連の対策に支出し、倉庫労働者の時給の引き上げや、マスクなどの防護装備の購入、検査体制の整備などを行うと述べている。
一方でアマゾンは元従業員たちからの抗議にも直面している。同社は今年3月から4月にかけて、同社の新型コロナウイルスの感染拡大への対処を公に批判した物流センターの社員ら数十人を解雇したが、一部の元従業員はアマゾンが、彼らが内部告発を行ったことへの報復措置として解雇を行ったと主張している。
米国の9人の民主党議員らは5月6日付けでアマゾンCEOのジェフ・ベゾス宛てに書簡を送り、これらの社員を解雇するに至った経緯を説明することを要求した。
