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2020.05.15

コロナで売上好調の中国テンセント、ゲーム部門が31%増収

テンセント創業者のポニー・マー(Photo by South China Morning Post / Getty Images)

中国のテンセントのゲーム部門の売上は、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて大幅に増大した。テンセントの株価は年初来で14%の上昇となっており、過去2年間の最高値を更新した。

その結果、テンセント創業者のポニー・マーの保有資産はアリババのジャック・マーを上回り、中国1位の富豪のポジションを奪還した。

ポニー・マーの保有資産は5月14日時点で482億ドル(約5兆1600億円)に達している。これに対し、ジャック・マーの保有資産は412億ドルだ。ポニー・マーは今年3月上旬に、中国1位の富豪に浮上したが、3月18日にフォーブスが発表した世界のビリオネアランキングでは、ジャック・マーが首位となっていた。

テンセントは5月13日に好調な第1四半期の決算を発表した。同社は世界のインターネット関連企業と同様に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1月から3月にかけてサービス部門の需要を急拡大させた。

テンセントの最大の収益源であるゲーム部門の売上は、第1四半期に31%増加した。売上を牽引したのはモバイルゲームの「Peacekeeper Elite」や「Honor of Kings(王者栄耀)」だった。同社の第1四半期全体の売上は26%増の150億ドルだった。

しかし、アナリストらはこの好調が長くは続かないと見ている。ロックダウンの解除が進む中国では、学校や企業の再開が進み、人々がゲームに費やす時間は低下する見通しだ。さらに、中国のGDPは第1四半期に6.8%減となっており、消費者支出の低下も予想されている。

テンセントも既に売上の減速を見込んでおり、消費者のゲームのプレイ時間が今後、低下する見通しを示している。

同社はさらに、広告分野での売上低下にも直面する見通しだ。テンセントの広告部門の売上は第1四半期に32%増を記録したが、これはロックダウンの期間中のWeChat内のターゲティング広告が急成長したためだった。

オーストラリアのフィンテック企業に出資


テンセントの戦略主任のJames Mitchellも、決算発表の場で広告売上が減少する見通しだと述べた。世界各国の広告主らは、パンデミックを受けて広告予算を大幅に削減すると見込まれている。

一方で、収益源の多角化を模索するテンセントはここ最近、いくつかの新たな出資を行った。カナダのコーヒーチェーンの「Tim Hortons」は先日、テンセントから金額非公開の出資を受けたとアナウンスした。

さらに5月上旬に、オーストラリアのフィンテック企業「Afterpay」は、テンセントが同社の株式の5%を取得したことを開示した。両社は合同で声明を発表し、決済分野での協業を視野に入れていると述べた。

編集=上田裕資

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