「家族想いの映画」といっても、ほっこり泣けるものではない。ここでは『パラサイト 半地下の家族』配給のビターズ・エンドならではの、現実のシビアさに拮抗するほど甘くない映画を紹介したい。どの映画も、人間の持つ闇の深さや、先が読めない展開に、画面から目が離せなくなることは間違いないはずだ。
子を想う母の愛が過激に加速するヒューマンミステリー
『母なる証明』(韓国)
ふたりきりで懸命に生きてきた母子。ある日、女子高生の惨殺死体が発見され、息子のトジュンが容疑者として拘束されてしまう。息子の疑惑を晴らすため、母はたった一人で真犯人を追う。
『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督作。子を想う母の“無償の愛”を通じ、“人間の真実”をスリリングに描き出すヒューマンミステリーの傑作だ。
主人公である母親には役名がない。これは誰しもが持つ「母親」という普遍性を表現するという監督の意図だったという。どんでん返しの先に待つ、圧巻のラストシーンは心に棲みついて忘れることがないだろう。
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生きるため、母は麻薬を売る。フィリピン無法地帯24時
『ローサは密告された』(フィリピン)
(c)Sari-Sari Store 2016
4人の子どもがいる肝っ玉母さんローサは、夫とスラム街の片隅で小さな店を営んでいる。そしてタバコや菓子を売る傍ら、生活のために少量の麻薬を扱っていた。そんなある日、密告によってローサ夫婦は逮捕されてしまう。さらなる売人の密告、高額な保釈金──。恐喝まがいに警察の要求はエスカレートしていく。
法は誰のことも守ってくれない。ローサたち家族は、したたかに自分たちのやり方で腐敗した警察に立ち向かう。
ドキュメンタリータッチの映像が醸し出す臨場感。ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争の恐怖がそこに。カンヌ映画祭主演女優賞受賞。
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DVD:3800円+税 発売元:ビターズ・エンド 販売元:ポニーキャニオン