ひとつ屋根の下に集まるいまこそ観たい 「甘くない」究極の家族映画7選


残酷な誤報が家族の運命を翻弄する。運命こそが最大のミステリー

『運命は踊る』(イスラエル=ドイツ=フランス=スイス)


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(c)Pola Pandora - Spiro Films - A.S.A.P. Films - Knm - Arte France Cinéma – 2017

ミハエルとダフナ夫妻のもとに、息子ヨナタンの戦死の知らせが届く。悲しみに打ちひしがれるふたり。そんななか、その報が誤りだったと分かる。ダフナは安堵するが、ミハエルは激怒し息子を呼び戻そうとする。前哨基地の検問所で、ヨナタンは戦場でありながら何もない単調な日々を過ごしている。しかし、思いがけない事件が起きてしまう。

愛する息子を連れ戻そうとする父、息子が生きていた事を喜ぶ母、戦場で悲しい体験をする息子。離れた土地で、彼らは運命の渦に容赦なくのみ込まれてゆく。果たして彼らの身に起きることは偶然のいたずらなのか、因果応報なのか?

原題は「FOXTROT」。必ず同じところに戻ってくるステップのダンスだ。力強いカメラワークと共に描かれるミステリーに釘付けになる。ヴェネチア国際映画祭審査員賞(銀獅子賞)受賞。

配信先:Google Play、YouTube、Amazonビデオ、TSUTAYA TV、U-NEXT、dTV、ひかりTV、ビデオマーケット、Rakuten TV、iTunes
DVD: 4,800円+税 発売元:ビターズ・エンド、ミッドシップ 販売元:紀伊國屋書店

ウザい変人キャラの父とキャリアウーマン娘の、毛むくじゃらの親子愛

『ありがとう、トニ・エルドマン』(ドイツ=オーストリア)


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(c)Komplizen Film, coop99, Missing Link Films 2016

悪ふざけが大好きな元音楽教師の父ヴィンフリートと、コンサル会社でバリバリ働く娘イネス。性格も暮らしぶりも、正反対。たまに会ってもイネスは仕事の電話ばかりしている。

愛犬を亡くして寂しくなった父は、ルーマニアで働くイネスの元へ。突然の訪問に驚きながらも何とか数日を過ごし、ようやく去ってくれたかと思ったら、「トニ・エルドマン」という別人に変身した父が再び現れた。仕事先から友人との飲み会まで神出鬼没の「トニ・エルドマン」にイライラは募り……。

無表情の仕事人間だった娘が爆発した先に驚きのドラマがある。笑える映画ではあるのだが、コメディ映画と聞いて想起するものとは違う独特の間合いやユーモア。妙な展開と不意打ちの連続に、気づけば号泣。 “毛むくじゃら”の意味含め、本当に説明が難しく「すごいのでとにかく観て」としか言えません。

配信先:Google Play、YouTube、Amazonビデオ、TSUTAYA TV、U-NEXT、ビデオマーケット、FOD、iTunes
Blu-ray:4800円+税 DVD:3900円+税 発売・販売元:ハピネット

7本すべてが、一筋縄ではいかない家族の愛が描かれた物語だ。人は愛ゆえに強くなり、愛ゆえに自らを失う。表裏一体であるこの人間の真理こそが、究極のエンターテインメントなのかもしれない。そしてそこには、混沌としたいまを生きるわたしたちの姿も映っているかもしれない。

映画にどっぷりつかってただひたすら楽しむのもよし、人間の奥深さに思いを馳せるもよし。映画と共に、刺激のある#STAYHOME を。

連載:独立系配給会社と観る「映画のいま」
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文=伊藤さやか

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