まさに「一夜城」大量検査施設を14日で設立、UAEの王族率いるコロナ対策

Photo by Francois Nel/Getty Images


スマートヘルメットやアプリを導入


UAEは、長期戦を見据えながら、先端技術を使ってより効果的に状況をコントロールしつつ、新型コロナウイルスと「上手く付き合っていこう」としている。国を発展させるチャンスとしても捉えているようだ。

アブダビでは保健庁が感染者との接触を知らせるアプリを開発・導入を進めており、警察は人の体温などをモニターし、感染者を一早く発見することができるスマートヘルメットを導入した。UAEの国内では、自宅や空港で感染者の体温、心拍数、呼吸数、血圧などモニターできるレーダーの開発や、低コストでの人工呼吸器大量生産、3Dプリンターで医療用マスクや医療器具の製造生産にも取り組んでいる。研究投資や中国含む世界各地からのデータ収集にも余念がない。

また、ドバイのムハンマド・ビン・ラーシド医学健康科学大学(MBUR)の研究者らが感染者から検体を採取し、国内初の新型コロナウイルスのゲノム解読に成功した。

約3万の遺伝子基盤から構成されているこのウイルスは、平均して2週間毎に突然変異が起きているという。ウイルスの遺伝子解読と変化を時間ごとに観察することで、ウイルスがどのように蔓延しているのがを知り、拡大をコントロールするのに役立つと大学総長は説明している。研究チームでは、様々な時期に感染した患者及び年齢層の患者からサンプルを採取し、さらなるゲノム解読を目指しており、同研究所は国内外の機関とも連携して研究を継続中だ。

UAEの指導部は、新型コロナウイルスの終息には、ワクチン・治療薬の開発が必須だとしており、長期的にこの感染症とつきあう心づもりだ。この機会を生かして、大量検査によりデータを収集、他国と協力しながら優秀な研究者を集めて、医療分野の投資を進めることで、今後世界をリードする役割を担いたい、という思いが感じられる。UAEが力を入れるハイテク機器やAIを実地で試験運用できる機会でもある。

新しい試みをスピード感をもって実施し、ピンチをチャンスに変え、その機会を逃すまいとしている同国指導部の果敢な姿勢に私は感心しながら、興味深くフォローする毎日である。

文=本田 圭

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