そんな白ブドウの女王、シャルドネ100%のシャンパーニュは、「Blanc de Blancs(ブラン・ド・ブラン)」と呼ばれる。ブラン・ド・ブランとは、白ブドウだけで造られた白ワインのことだが、多くの場合、シャンパーニュの主要白ブドウ品種であるシャルドネのみを使って造られるのだ。
シャンパーニュでも、ブドウが育つ場所やワインの造り方によって多様なブラン・ド・ブランが生まれている。今回は、その中から、お勧めの7つを紹介したい。
1. 豪華で重厚:テタンジェ「コント・ド・シャンパーニュ」
老舗メゾンのテタンジェ(Taittinger)が造る、プレスティージュ・キュヴェ、「コント・ド・シャンパーニュ(Comtes de Champagne)」。リンゴ、洋梨、杏のコンポートの果実と、10年弱の長い澱熟成に由来するトーストやコーヒーのニュアンスが融合し、重厚で奥深い。収穫年による個性と開けるタイミングもあるが、いつ飲んでも間違いがなく、一貫して高品質だ。
シャンパーニュ地方の中でも、シャルドネの銘醸地として知られるのがコート・デ・ブラン(Côte des Blancs)地区で、著名なシャルドネ生産者はここに集まっている。
コート・デ・ブラン地区のブドウ畑
コント・ド・シャンパーニュは、この地区の特級格付け(グラン・クリュ)の5つの村から収穫されるブドウをブレンドして、良作年にのみ造られるヴィンテージ・シャンパーニュ(収穫年の表示があり、その年のブドウのみから造られるワイン)。特別な機会にふさわしいワインだ。
2. 旨味と果実:シャンパーニュ・パスカル・ドケ
パスカル・ドケ(Pascal Doquet)は、優しく温和な性格ながらも、ブドウの話になると、強い意志がひしひしと伝わってくる熱き生産者だ。オーガニック栽培の団体のリーダーを務め、そのような栽培が簡単ではないシャンパーニュの土地で、自身の畑もオーガニックの認証を取得している。日々の畑仕事への真摯な姿勢が、そのブドウの質にも表れている。
「Vertus Premier Cru Couer de Terroir」は、桃や洋ナシの果実と旨味とのバランスが良いシャンパーニュ。拠点のヴェルテュ(Vertus)村は、コート・デ・ブラン地区の最南端にあり、さらに、当主のパスカルは、ブドウがよく熟すまで待ってから収穫を行うので、彼のシャルドネには、熟した果実のふくよかさと厚みを感じる。アペリティフとしても、食事中にも活躍するシャンパーニュだ。
パスカル・ドケ氏(Pascal Doquet / 左がら2番目)とパスカルの家族