在宅勤務で睡眠量が増えても大丈夫な理由

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睡眠が心身の健康全般において重要な役割を果たすことは、これまで十分に証明されてきた。子どもや10代の若者にとって、睡眠は脳の発達の助けになるものだ。成人の間でも、睡眠を取ることで免疫系が感染症と闘えるようになり、脳と体が回復して次の日に備えることができる。

私たちは睡眠を休息時間と捉えることが多いが、睡眠は実際、多くの重要な処理や回復、強化を行う非常に活動的な時間なのだ。

しかし、環境が変化している不安定な時期は、睡眠パターンが良くも悪くも大きな影響を受けかねない。2020年の初めには、確実にそれなりの不安と変化が感じられた。健康技術・サービス企業のエビデーション・ヘルス(Evidation Health)の新たなデータからは、新型コロナウイルスによる在宅勤務や隔離措置によって、米国人が行う身体的活動は通常時より40%ほど減っている一方で、睡眠時間はほぼ20%増えていると推定されている。

在宅勤務をすることで都合が良いときに昼寝できるようになり、普通は睡眠を取らないような時間帯に眠ることができる人もいるが、同時に時間配分の変化が要因となっている場合もある。エビデーション・ヘルスによると、データからは「睡眠時間が25%増えた4つの州の中で、メリーランド州とニュージャージー州の2州が通勤時間の長さでトップ3に入っている」ことが判明した。

一方、ルーティンの変化にストレスを感じ、自分では制御できないことを心配して眠れない人や、自己治癒を促すどころか害を及ぼしてしまいかねない乱れた睡眠パターンを持つ人もいる。医学誌の行動睡眠医学(Behavioral Sleep Medicine)に掲載された2017年の研究からは、長期的な睡眠不足によりワクチンの有効性が薄れる場合もあるほど睡眠が大きな影響力を持つことが示されている。

この後者のカテゴリーに入る人は、睡眠は体だけでなく心のためにも重要であることを理解しておくことが重要だ。眠るのは難しいかもしれないが、今の不安に対処するのに必要なものはまさに睡眠かもしれない。

睡眠がこれほど重要な理由


誰にとっても、睡眠は健康な成長と発達に必要な機能だ。筋肉は成長し、細胞は修復され、体は感染症と闘う。睡眠は文字通り、体全体の治癒を促し、体と脳を守るものなのだ。睡眠はさらに、心臓や血管の自己修復にさえ関わっており、記憶の変換や学習の改善にも関連している。十分な睡眠を取ることで、集中力や判断力、創造性も向上する。
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翻訳・編集=出田静

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