ALFA ROMEO Stelvio
クルマにおけるグッドデザインとは何か。指標は時代とともに変わる。
例えば1950年代の米国車のテールフィン。宇宙開発競争に沸いた時代に消費者ウケを狙い、ロケット的な要素を採り入れたデザインだ。
80年代のエアロシェイプは、科学を採り入れたデザインと喧伝され、世界中のメーカーがこぞって採用した。
ファッションのようにトレンドが移るなかで、ことさら胸を打つのは、戦前からのモチーフを使ったアルファロメオのクロスオーバー、ステルヴィオだ。
39年の6C2500という美しいアルファロメオのクーペで採用された楯型のグリルを中心としたフロントデザインが、現代的にアレンジして採用されている。これが巧妙だ。
クルマのデザインは、ホイールベースとパワートレインの搭載位置から始まる。これらをいかに自然に収め、そして運動性能やドライバー、パッセンジャーの快適性へと進む。しかしステルヴィオはフロントマスクからデザインしたのではないか、というぐらい、クルマで大事な“顔”の印象が強い。
もちろん、側面から見たときのプロファイルも、バランスがとれていて美しい。車体の随所には曲線を生かしたデザインが施されている。随所に美意識を注ぎ込んだことを感じさせるステルヴィオは、パワーと美のクロスオーバーといいたいぐらいだ。
2リッター4気筒モデル、ディーゼル、さらには、パワフルなV6搭載のクワドロフォリオなるスポーツ仕様の設定もある。このクワドロフォリオは、ニュルブルクリンクの北コースで、7分51秒7のラップタイムを記録。2017年9月時点で量産SUV世界最速タイムを叩き出したのだ。
後輪駆動がベースのオンデマンド型4WDというのも、乗るひとをスポーティーなキャラクターで楽しませようとしているメーカーの考えの表れだろう。デザインに惹かれて手に入れたとしても“見返り”はちゃんとあるクルマなのだ。