アプリ関連のマーケティングを支援するLiftoffとApp Annieが4月15日に発表したレポートで、ファイナンス系アプリのアクセス回数は2019年に1兆回を突破し、新規登録件数は71%の増加となったことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大以降に、これらの数値はさらに上昇している。
Liftoffの担当者は筆者のEメールでの取材に「米国ではファイナンス系アプリの利用時間が、昨年12月29日から今年3月15日の間に35%上昇した」と述べた。
パンデミックによって外出が制限されても、モバイルのアプリなら金融サービスを手軽に利用できる。グーグルのGoogle Payにおいて、フィンテックアプリのダウンロード件数が最も伸びた国はフランスとロシアだった。
米国において最も支持を伸ばしたフィンテック系アプリはスクエアの決済アプリCash Appや、個人間の送金アプリのZelleやVenmoなどで、カナダではCredit KarmaやPC Financial、Scotiabankが人気となっている。一方、中国ではChina Individual Income TaxやJD Financeがこの分野のトップとなった。
消費者にとってフィンテックアプリの利点は、時間や場所を問わず金融サービスが利用可になることだ。一方、銀行やフィンテック系スタートアップらは、モバイルを通じてこれまでより安価に新規の顧客を呼び込めるようになった。
LiftoffとApp Annieが実施した調査で、フィンテックアプリの1インストールにかかるプロモーション費用は、以前より76%も低下したことが確認された。一方、会員登録率は71%以上も上昇していた。
さらに、Liftoffによるとフィンテックアプリの利用時間は伸びており、人気の予算管理アプリMintの月間アクティブ利用者数は20%の上昇となったという。「市場のボラティリティが高まり、経済見通しの不透明感が増す中で、ファイナンス系アプリの利用率は空前のレベルに達している」と、Liftoffの担当者は述べている。
ただし、将来的には困難な状況が待ち構えているかもしれない。銀行やファイナンス系アプリのダウンロード数は、過去最大レベルに達しているものの、感染拡大を受けて失業率も急上昇し、人々がこれらのアプリで管理したり、投資を行う資金の減少が予測される。
フィンテック系のアプリは、今後の数カ月の間に困難な状況に直面することになりそうだ。