新型コロナウイルス危機の最中にある現在、自宅で仕事をする米国人労働者は最大で半数に上っている。報告書の推定によれば、この割合は、2017年から2018年にかけての比率の2倍だ。
報告書には、「4月はじめに実施した調査では、対象となった最高財務責任者(CFO)の約5人に1人がすでに、従業員の少なくとも20%にテレワークを継続させて、経費を削減する予定だと述べている」と書かれている。
報告書はさらに、テレワークは雇用主と労働者の双方にとって一長一短だと指摘している。労働者の場合、在宅勤務であれば、通勤にお金と時間をかけずに済む。さらに労働者(特に女性)は、仕事と家族のバランスも取りやすくなるし、男女とも仕事の満足度が向上する。
短所としては、職業人として孤立することや、ウェルビーイング(心身の幸福)とキャリアアップが頭打ちになることが挙げられる。「米国のテクノロジーサービス企業1社の従業員を対象にした新しい調査から、長期に及ぶテレワークは、昇進機会の減少や、給与の伸び悩みと紐づけられることが明らかになった」と報告書には書かれている。
雇用主側にとっては、従業員がテレワークになれば、オフィスの維持管理費が削減できるというメリットがあると報告書は指摘している。さらに、米国のコールセンターへの求職者を対象にした2017年の調査では、求職者は総じて、在宅で働けるなら、時間給にして賃金が8%減となってもかまわないと回答した。
雇用主にとって、テレワークには利点がある一方で、そうした形態で働く従業員の管理は容易ではないかもしれない。
特定の状況下においてテレワークが有利となるか不利となるかについては、職務の種類が影響する、と報告書を作成した研究者は述べている。
「チームを組んでクリエイティブな作業をするときは、バーチャルよりも直接顔を合わせて取り組んだほうがうまくいく。しかしテレワークは、個別に行うタスクへの集中力を高めてくれる」
長期的な在宅勤務、また大規模なシステムを使ったテレワークが生産性を向上させるかについては、まだ結論が出ていないと研究者は述べる。
なお、報告書は、賃金が高めの労働者のほうが、在宅勤務の普及が進んでいる傾向があると指摘している。2017年と2018年に行われた米労働省労働統計局の調査によれば、収入が上位25%以内の人のほぼ半分近くは、仕事の少なくとも一部を在宅で行っていた。これに対して下位25%の労働者では、在宅で勤務した者は4%にとどまっていた。