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2020.04.18 18:00

電動化でも先手を打つ、フェラーリの戦略

FERRARI Stradale

電動化で何をかなえるのか。メーカーの姿勢が明確に表れるのがEVだ。なぜメーカーはEVをつくるのか? サステイナブルなクルマ社会のあり方を提示しながら、EVで未来のクルマ社会にどう貢献するつもりでいるのか。ユーザーはメーカーの姿勢を見ている。その厳しいまなざしに耐えうるコンセプトを実現するEVが増えてきた。


FERRARI Stradale

スポーツカーと電動化は相性がいい。そう言われてきたことを、いちはやくフェラーリが証明しようとしている。

なにより注目は、フェラーリの大胆さだ。パワフルなミドシップモデルだけでも売れ行きは好調。つまり当面は“食べていける”だろうに、プラグインハイブリッドという、量産電動モデルの分野でも先手を打つ。

先行者利益というように、フェラーリは先進性でも優位だと印象づけるマーケティング的な意味合いもあるのだろうか。

フェラーリSF90ストラダーレは、ミドシップのV8ターボエンジンと電動モータープラグインハイブリッド。これからのフェラーリV8ミドシップシリーズを牽引する役目も担っているのだ。

モーターは2基がフロントに、1基がリアに設置される。それでエンジンとともに前後輪を駆動する。780CV(CVはイタリアの馬力表示で574kWに相当)をエンジンが、フェラーリが「eDrive」と呼ぶシステムが220CV(162kW)を上乗せ。そこでフェラーリでは、1000馬力を謳っているのだ。

「複雑と思われるかもしれませんが、実際にドライバーが感じることはその反対で、ドライバーは直感的に4つのドライブモードから、そのときの気分に合う走り方を選択すればいいだけです」と、フェラーリは説明する。

昨今のフェラーリは、F8トリブートでも、19 年10月に発表されたローマでも「誰でも運転できる(その気になればサーキットでも速い)」をセリングポイントとしている。SF90ストラダーレも、そのコンセプトで開発されているのだろう。

電動化もスポーツカーの多様性のための技術として使い、1000馬力のスポーツカーだろうと、初心者でもそれなりに楽しめるように仕上げてしまった。そこには、スポーツカーづくりを知り尽くしたというフェラーリの矜持を感じるではないか。

世の中の変化も、自社の強みに引きつける。これが本当の強さだ。

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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