5カ月間の服役から華麗なる復活 元祖カリスマ主婦マーサ・スチュワートの現在

Cindy Ord / Getty Images

料理や園芸、手芸などを中心としたライフスタイルの提案が人気を博し、関連書籍も多いマーサ・スチュワート。TVのレギュラー番組で知名度を高め、オリジナルブランドの商品の販売で上場まで果たしたが、インサイダー取引で服役生活を送った時期もある。

日本では「元祖カリスマ主婦」としても知られる彼女の光と影に迫る。

マーサ・スチュワートの生い立ち


ポーランド移民の子として1941年にアメリカのニュージャージー州で生まれたマーサ・スチュワート。6人兄弟の2番目として育ち、学生の頃からモデルとして活躍した。そこで得たギャラを学費の足しにしつつ、ニューヨークのバーナード・カレッジで歴史と建築史を学ぶ。

61年に学生結婚し、65年に娘のアレクシスが誕生した。67年から約5年間、株式仲買人としてウォールストリートで経験を積む。70年には、コネチカット州のウエストポートに自宅を買い、2007年までそこで生活を送った。

自宅のキッチンから始めた事業で大成功


マーサの成功は、自宅のキッチンから始まった。76年にケータリング事業を立ち上げ、そのおいしさと魅せ方が評判を呼ぶようになり、82年に初の書籍『Entertaining』を出版した。その後も数多くのレシピ本などを出版し、90年には雑誌『Martha Stewart Living』、95年にはウエディング雑誌『Martha Stewart Wedding』も発刊した。

92年にはTV番組『Martha Stewart Living』を始め、知名度を高めていく。著名なゲストのトークや番組で紹介される料理、ライフスタイルが主婦を中心に人気となり、12年間も続くことになる。

その後も大手量販店の「Kマート」とコラボし、自身の名を冠したライフスタイルグッズをヒットさせるなど、マーサのビジネスは順調に拡大していく。そして、99年にニューヨーク証券取引所に上場を果たし、億万長者の仲間入りを果たした。

栄光からの転落


誰の目にも順風満帆に見えたマーサのビジネスだが、思わぬところから崩壊してしまう。2002年にインサイダー取引の容疑をかけられた彼女は、04年に有罪判決を下され、3万ドルの罰金を支払い、5カ月間服役することとなる。

“主婦のカリスマ”から一転、非難される対象となり、株価は大幅に下落、番組も打ち切られてしまう。

華麗なる復活


服役を終えたマーサは強靭な精神力で復活の狼煙を上げた。05年にはラジオ番組とTV番組を開始し、自伝『マーサの成功ルール』を出版。

インスタグラムなどSNSを積極的に取り入れたり、17年にはアマゾンと提携してミールキットを発売するなど、若い世代も視野に入れた取り組みを加速させている。ハートや星形の穴を紙に開けることができるクラフトパンチなど、主婦の目線をいかした商品やアイデアを生み出してきた彼女は、再び多くの女性たちを虜にすることができるだろうか。

文=谷村光二

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