ビジネス

2020.04.08 06:00

新型コロナに対応、「非接触」の小売手法が急増

David L. Ryan/The Boston Globe via Getty Images

David L. Ryan/The Boston Globe via Getty Images

「消費者は、自分の手を使ってブランドとつながる」。この表現は、2011年に「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載された記事に書かれていたものだ。「どうぞ商品に触れてください」と題されたその記事では、小売業界で「忘れ去られていた触覚」が注目されていた。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう現在の世界では、その考え方は滑稽なほど非現実的に思える。現在の買い物客は、自分の携帯電話のほかには、どんなものにも触りたくないと思っている(皮肉なことに、携帯電話の汚さは「便座の10倍」になることもあるのだが)。

ガソリンポンプのハンドルから、信号機の押しボタンまで、危険はいたるところに潜んでいる。それに対応して、世界中の小売業者が先を競うように、自分たちなりの「非接触」小売手法を導入している。

このトレンドが最初に生まれたのは、ウイルスの発生地でもある中国だ。オンライン小売分野の先頭を走る中国市場では、ロックダウンに直面した飲食店が即座に、「接触のないデリバリー」の提供に乗り出した。注文した商品を、「玄関先、ロッカー内、もしくは指定の受け取り場所」に置くサービスを開始したのだ。
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なかには、消費者の安心のために、料理と配達を担当した者の名前と体温を記載する食事配送サービスまであった。

欧米ではドミノ・ピザが多くの都市で、「お客様と配達エキスパートとの直接の接触はありません」と謳い、「ゼロ接触デリバリー」(もしくはそれと同様のもの)を開始している。注文した商品を玄関先に置き、「エキスパート」がピザから離れてから、消費者に連絡して商品到着を知らせるという仕組みだ。

そのほかにも、インスタカート(Instacart)などの食品宅配サービスをはじめ、多くの食品デリバリープラットフォームが同様の対策を講じている。

購入した商品の受け取りでも、人との接触が控えられている。オーストラリアのマクドナルドは、「接触のない注文、支払い、受け取り」を提供している。食品以外でも、店舗を閉鎖している小売業者が、接触のない受け取りがしやすいカーブサイド・ピックアップ(駐車場などで商品を受け渡すサービス)を開始している。家電小売のベストバイ(Best Buy)は、米国内の全店舗をカーブサイド・ピックアップのみとして、従業員しか店内に入れないようにしている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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