各種サービスでも、人との接触が排除されている。英国では、自動車用品販売のハルフォーズ(Halfords)が、ゼロ接触修理サービスを導入した。このサービスでは、ドライブウェイ(私道)や家の外で整備や修理が行われているあいだ、客は屋内にとどまり、自己隔離した状態を保つことできる。
獣医サービスの分野でさえ、オーストラリアのグリーンクロス・ヴェッツ(Greencross Vets)が「人との接触を最小限に抑えた」ペットケア・オプションを発表した。ペットを預けて、離れたところで診察を受けているあいだ、飼い主は車のなかで待つ仕組みだ。
「非接触」小売手法の実現に貢献しているのが、接触のない決済ソリューションだ。「タップ&ゴー」や、アプリを使うオプションなど、接触のない決済の利用が急増しており、現金はタブーになっている(なにしろ、新型コロナウイルスは最長72時間にわたって硬い物の表面で生きられると報じられているのだ)。
英国では、新型コロナウイルスに対する懸念から、現金の使用が50%減少した。非接触型決済がそれほど普及していない米国でも、ウォルマートがアプリを活用。スマートフォン決済システム「ウォルマート・ペイ」を利用した会計時に、客がタッチスクリーンにも触れずに済むようにした。
当然のなりゆきとして次のステップは、方程式から人間を完全に取り除いたロボット小売ということになる。その点でも先頭を走っているのは中国だ。「JD.com(京東商城)」やアリババ傘下の「Ele.me(餓了麼)」は、新型コロナウイルス感染症の流行がもっともひどかった時期に、封鎖地域にロボットを派遣していた。
ロボットやオートメーションは、新型コロナウイルス感染症が脅威になる前から、中国国民の生活のさまざまな面に進出していた。ほぼすべてがロボットだけで運営されているホテルもその一例だ。
「非接触」小売手法は定着するだろうか? 新型コロナウイルスの脅威が去ったあとも、このトレンドは続くのだろうか? おそらく続くだろう。そして、現在のパンデミックの渦中では、ゼロ接触は非常に重要だ。客とつながり続ける最善の策は、接触をできるかぎり減らすことにあるのだ。