経済・社会

2020.04.07 06:00

1週間で失業率が1.8%上昇、アメリカ経済はどうなる

Getty Images

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今後アメリカが景気後退することは、ほぼ確実だ。失業者の数は、3月21日までの週に300万人増加した。途方もない急増だ。この期間に失業した人の数は、通常であれば四半期の通算に相当する。残念なことだが、失業者は今後も増え続ける可能性がきわめて高いことは言うまでもない。
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失業率の急上昇


それどころか、たとえ失業者の増加が突如として300万人で頭打ちになったとしても、景気後退はやはり起こるだろう。研究者のクラウディア・サーム(Claudia Sahm)は、「失業率の0.5%上昇」は景気後退の指標として信頼に足るものだと示した。300万人の増加は、引き金を引くには十分すぎるほどだ。

詳しく見ていこう。今年2月の時点で米国の失業率は3.5%、つまり580万人が職に就いていなかった。ここに300万人が加わると、他の条件がすべて等しければ、失業率はおよそ5.3%になる。わずか1週間分のデータを加えただけで1.8%の上昇であり、これは景気後退の指標となる数字の3倍以上だ。さらに、思い出してほしい。失業者の急増がすぐに収まる兆しはまったくないのだ。

景気後退の定義


米国の景気動向に関する公的な判断は現在、全米経済研究所(NBER)が行なっている。同研究所は速報を出さず、すべてのデータが揃ってから判断を下すため、発表されるのは数か月先だろう。最後に景気後退の判断が出されたのは2007年末のことだが、そのときNBERは、景気後退について次のように定義した。
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「景気後退とは、経済活動の顕著な低下が経済全体に波及し、少なくとも数か月継続している状態を指し、国内総生産、雇用、実質所得といった指標に裏付けられる」

つまり、現在のわたしたちがまだ景気後退の局面にいない理由は、指標の悪化があまりに急速で、NBERの定義に基づくなら「少なくとも数か月継続」していないから、というだけでしかない。可能性は低いが、現状、理論的には景気後退が起こらない可能性もまだ残されている。

市場の動向


とはいえ、投資家にとって重要なのは、市場は当然ながら景気後退のリスクを認識しているということだ。2020年の景気後退の見通しは、すでに市場によって十分認識されている。「S&P 500」は現在、最近の高水準をおよそ25%下回っている。

連邦準備制度理事会(FRB)は、緊急利下げを含むさまざまな緩和策を実施し、連邦政府は包括的な景気刺激策を承認した。こうした取り組みは、景気後退による損失を抑制する方向にはたらく。

したがって、景気後退局面にいるからといって、投資家はパニックを起こす必要はない。2008年の世界金融危機の際、S&P 500は2009年3月に底を打ち、3か月後の2009年6月、米国は公式に景気後退を脱した。けれども、常にこのようなパターンが起こるわけではない。その前の景気後退局面においては、景気後退が完全に終息するまで、市場の下落は続いた。

こうした状況での適切な戦略とは、直近の不安要素にかかわらず、長期的リターンが期待できるものに投資を行うことだろう。ここ数十年の傾向として、景気後退の期間中、投資家たちは堅実な長期的リターンを求めて投資先を多角化してきた。この先数か月も同様の動きになりそうだが、これから経済面の見出しが暗い言葉で埋めつくされることは覚悟しておく必要がある。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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