ロックダウン(都市封鎖)の実施により、人々は米やパスタ、そしてなぜかは分からないが非常に多くのトイレットペーパーを買い占めており、スーパーマーケットは混沌(こんとん)とした状態になった。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相やアイルランドのレオ・バラッカー首相など世界のリーダーらは、国民に対しスーパーマーケットには今後も十分な在庫があると呼びかけ、自分よりも弱い立場にいる人から必需品を奪っている買い占めを避けることが重要だと伝えた。
食品やその他の商品への需要は現在、史上最大の水準だ。しかし、スーパーマーケットの陳列棚に全く何も残されていなかったとしても、それは実際に物資が不足していることを示しているわけではなく、サプライチェーンにただ障壁が生じているだけだ。食品は今でも生産・包装され、販売業者に配送されている。しかしそのペースは多くの場合、現在の需要を満たすのに必要な水準に達していない。
これは、国境封鎖によって遅れが生じている欧州シェンゲン圏に特に当てはまることだ。ほとんどの先進国では、サプライチェーンはこうした混乱を切り抜けられるように作られている。それには、スーパーマーケットが異なるサプライヤーに切り替えたり、顧客が購入できる量に業者が制限をかけたりすることなどがある。
興味深いことに、スーパーマーケットでの混乱や買い占めを経験している国の多くは、食料安全保障の水準が世界的にも高い国だ。新型コロナウイルスが現れる前の2019年10月、英誌エコノミストの調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、最新の世界食料安全保障指数(GFSI)の最新版を発表し、113カ国の食品の手頃さや入手しやすさ、安全、品質を34の異なる指標により評価した。
昨年、食料安全保障の水準が最も高かったのはシンガポールで、総合スコアは87.4だった。2位はアイルランドで84.0だった。新型コロナウイルスによる感染症の広がりにより、現在スーパーマーケットで長蛇の列ができている米国は3位で、総合スコアは83.7だった。これまで新型コロナウイルスの大流行により悲惨な状況を経験しているイタリアと中国は、それぞれ23位と35位だった。
同報告書によると、昨年の食料安全保障の水準が低い国は下からベネズエラ、ブルンジ、イエメンだった。