植物由来食品の分野をリードする企業は、肉と同等の価格の達成に徐々に近づいている。この目標達成のために、植物由来食品企業は提携関係や供給、生産施設を拡大している。これは、植物由来食品版「ビッグフード(食品大手企業)」の新たな時代の幕開けなのだろうか?
インポッシブル・フーズのレイチェル・コンラッド最高コミュニケーション責任者(CCO)は、そうは思っていない。彼女は「当社はもっぱら、食品システムの中の動物性食品を別のものに置き換えるために設立された」と述べている。この目標を達成するのに役立つ決定や合意は良いものだ。それには、バーガーキングや大手食品製造企業などとの提携が含まれる。
コンラッドによると、必需品としての肉を全てなくすためには競争力のある価格が必要であることを、インポッシブル・フーズは知っている。同社はまだ、その段階には至っていない。インポッシブル・フーズの肉製品の価格は現在、高級で有機のグラスフェッドビーフ(牧草を主体として飼育した牛肉)に近いからだ。しかしコンラッドは、同社が目標に達するまで、価格が下がり続けることが期待できると述べている。
動物性食品企業と提携へ
ジャストの共同創業者であるジョシュ・テトリック最高経営責任者(CEO)にとって、動物性タンパク質を扱う企業との提携は全く考えてもいなかったことだった。彼は「ビッグフード」のことを、ただ「故意に人の体に害を与えようとする」人が運営する純然たる悪だと考えていた。
ジャストの目標はインポッシブル・フーズと似ている。それは、植物由来の代替卵商品の販売数を伸ばし、動物由来食品の販売数を減らすことだ。テトリックによると、同社は2019年末までに約1540万個の卵に匹敵する代替卵商品を販売している。それによって多くの水や土地が節約され、二酸化炭素の排出量が減るとのことだ。
肉を置き換えることはいまだに、非常に大規模な目標だ。牛肉・鶏肉・乳製品・豚肉・卵の売り上げは全て、毎年数千億ドル(約数十兆円)に上る。植物由来食品カテゴリーで最大の規模を誇る牛乳代替商品でさえ、売り上げはたったの20億ドル(約2200億円)だ。
その一方で、この業界は驚異的な成長を遂げてきた。植物由来食品業界の擁護団体であるグッド・フード・インスティテュート(The Good Food Institute)が委託した最近の調査によると、2019年の成長率は、植物由来の代替肉では18%、植物由来食品のカテゴリー全体では11%だった。