英国から米国に至るまでの欧米諸国では、自然の中で自主隔離生活を送ろうと、田舎に向かう人の数が激増。だが、地元民の多くは訪問者を歓迎していない。
英ウェールズのスノードニア国立公園では21日、1日の訪問者数が史上最多となった。またウェールズのその他の村々では、新型コロナウイルス対策として政府が実施した移動制限や隔離措置を受け、観光客に帰宅を促す看板が掲げられた。
スノードニア国立公園の広報担当者は「『必要な移動』が実際に何を指すのかについての具体的な指示が必要」だとした上で、同園は「全ての訪問者や観光客に対し、政府の勧告に従い、どうしても必要な移動以外は避け、家の中で安全に過ごすように求めている」と語った。
英国では人々が都市部から田舎へと離脱しているようだが、政府は国民に対し、どうしても必要がある場合を除いて自宅を離れないよう求める姿勢を崩していない。
英国のダービーシャー州警察はさらに大胆な対策を取った。バクストンにある観光名所「ブルーラグーン」への観光客の訪問を抑制するため、水を黒く染めたのだ。
世界各国の地方部にある高級宿泊施設では、ロックダウン期間中に地方滞在を楽しもうとする都市部住民により、4月12日の復活祭前後の予約が増えている。
米ニューヨーク州ロングアイランドの保養地ハンプトンズではここ2週間ほどで、家族用住居の予約が10倍になった。予約客の大半は、ニューヨーク市を逃れようとする人々だ。
復活祭が近づく中、田舎の保養施設は、ロックダウンの中でも比較的好調さを保っている旅行分野の一つとなっているようだ。現代のグローバル化を示す大きな証拠の一つとして、経済全体がこうした状況に陥っているにもかかわらず、サプライチェーンが強固かつオープンであり続けていることがある。多くの人が地方で一時的に孤立することを選んでいる中でも、食料品などの必需品の配達や入手についての懸念はほとんどないようにみられる。