ところが、eスポーツにも、通常のスポーツと比べてかなり大きいと言える弱みがひとつある。それは資金だ。最も評価額の高いeスポーツ企業でさえも、その多くがいまだに資金調達を必要としている。その理由は、規模を拡大するため、あるいは儲けがないためだ。
米Forbesが2018年にまとめたeスポーツ企業の評価額に関する記事によれば、そうした企業の業務予算の半分は通常、プレイヤーの人件費として消えていく。eスポーツ企業の圧倒的多数は、(EBITDA[利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益]で見た場合に)収支がマイナスだ。なぜなら、プレイヤーを集めたりブランドを構築したりするために、資金を注ぎ込み続けているからだ。
そのため、eスポーツ企業が資金を大量調達する状況が起きてきた。ゴールドマン・サックスが2018年に公表した報告書によると、eスポーツ企業には2013年以降、合計で33億ドルのベンチャー投資が集まっている。2018年の年初から半ばまでの投資額は14億ドルと、前年同期比で90%近く増えた。なかには、売上に比して巨額の資金を調達しているeスポーツ企業もある。
例を挙げよう。Forbes記者の同僚クリスティーナ・セッティメ(Christina Settimi)の指摘によると、売上800万ドルのEnvy Gamingは、2019年に2000万ドルの資金を調達した。売上900万ドルのGen.Gは、2019年4月に4600万ドルを調達。100 Thievesにいたっては、2019年7月に、売上の10倍にあたる1億ドルを手にした。
eスポーツ関連ビジネスの情報を提供する「The Esports Observer(イースポーツ・オブザーバー)」は、2019年12月に次のように書いている。「2か月にわたって公表投資額が2億ドルを超えたのを受けて、イースポーツ・オブサーバーは、11月にeスポーツ業界に投資されたと公表された3億4300万ドルを追跡した」
11月のこの額は、2019年で2番目に高い額だ。公表された投資額の最高は、7月の5億5663万ドルだった。