組織を問わず、「新しい価値」の創出が求められる昨今、まずはアイデアを発想し、拡げる方法について、私たちの経験を元に前回の記事でお伝えした。
ネクストステップである、「たくさん生まれたアイデアの中から、実現したいものを選択し、それを形にしていくプロセス」は、イノベーションにおいて多くの人が苦労するフェーズだ。本記事では、このチャレンジの一助となる、誰でも簡単に試すことのできるツールをいくつか紹介したい。
1. 自分の情熱をコンパスにする
あなたはちょうどブレストを終えたところ。まだ不完全なアイデアが目の前に散乱している。
さて、次はどうする。アイデアをたくさん出すのは楽しいが、その中から絞り込むとなると、途方に暮れてしまう。間違ったアイデアを選んでしまったらどうしよう?「正しい」アイデアをどうやって判断すればよいだろうか。
こうした状況で、「投票」によってアイデアを絞り込むというのはよく用いられる方法だが、IDEOのプロジェクトで行う場合は、次のような評価基準を設ける。このような尺度があると、アイデアを選ぶ過程でより多くの気づきを得ることができる(プロジェクトによって、評価基準が変わることもある)。
・ユーザー中心:顧客がもっとも必要としているアイデアはどれか?
・心を動かす:どのアイデアが、自社の社員や顧客をもっともワクワクさせるか?
・個々のパッション:あなたがCEOだったら、どれを選ぶか。
・ミッション:会社や事業のミッションともっとも合致するのはどのアイデアか。
IDEOがクライアントにアイデアへの投票をしてもらう時、「個人の情熱」を基準の一つとしていることに驚かれる。企業が社員に対して、個人的な願望を元にビジネスの意思決定を求めることは稀だ。しかし、「情熱」は、アイデアを形にする上で欠かせない要素であると、私たちは信じている。これは、起業家にとっては目新しいことではない。アイデアに対する熱い想いは、コンセプトをより良いものへと昇華させる魔法になりうる。