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2. アイデアはできるだけ「見える」形にしてみる


ワクワクするようなアイデアをいくつか選んだら、次は、これを発展させていくフェーズだ。アイデアを形にする方法はたくさんある。アマゾンのプロダクトマネージャーは、コードを書く前にプレスリリースを書かされるという。IDEOでも、チームにアイデアを「見える化」させる、似たような手段を採用することがある。それは、例えば次のような内容を「4コマ漫画」に書かせる、というシンプルなものだ。

・ユーザーはどのようにこのサービスを見つけるだろうか?
・彼らはどうやって使う?
・ このサービスは彼らの生活にどんな影響を与えるだろう?
・利用後はどんな変化が起こる?



こうしたアクティビティをやると、突飛なアイデアについても現実的に考えざるを得ない。このプロセスに苦労する人もいるかもしれないが、心配はない。こうしてアイデアを「見える」形にしていく中で、新たに重要な問いかけをみつけることができるのだから。

3. 自分のアイデアを実際に人が体験する様子から学ぶ


会議室で話し合っているときはとても良いアイデアに見えたのに、現実になるとなんだか精彩を欠く、ということがある。逆もまたしかりだ。頭で考えたことと現実とのギャップは、初期の段階でアイデアを「体験」することで埋めていける。最近の事例をつかって説明したい。

IDEOは、三井物産グループの「Moon Creative Lab」と共に、乳幼児を抱える日本の親たちの育児をサポートするサービスをデザインしている。事業アイデアを考え始めた頃、ある問いが生まれた。アプリに育児の悩みを相談する機能があるとしたら、親たちは、生身の人間のアドバイザーを求めているだろうか?それとも、すべてAIで代替できるだろうか?

ユーザーインタビューを行なってみると、多くの親が、アプリ内の人間によるアドバイザー機能に対する抵抗感を示した。「何を聞いたらいいかわからなそう」「あまり使わないと思う」といった声が多かった。

しかしここで、「育児相談はすべてAIで対応する」というアイデアを選択する前に、私たちは簡単な実験をやってみることにした。LINEのプライベートグループを作り、育児アドバイザーと、先程のインタビューに協力してもらった乳幼児の母親たちに入ってもらった。そして、アドバイザーから会話をスタートしてもらい、何が起こるか観察した。

すると、母親たちから、せきを切ったように相談が溢れ出したのだ。さっきまで、「人間の育児アドバイザー」は使わないと言っていた母親たちだが、いざ実際にその場を与えられると、積極的に相談を続けた。彼女達は、アドバイザーが自分の気持ちをわかってくれる同士のような存在であると感じ、好感をもったという。

こうして、アイデアを実際に形にしてユーザーに体験してもらい、意外なインサイトを得られたことで、チームが自信をもって次のステップに進むことができた。

文=岩下恵(IDEO Tokyo デザインディレクター)

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