ビジネス

2020.03.18

Slackコミュニケーションで心がけたい10のポイント コロナ影響、テレワークで導入進む

Shutterstock

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、出社禁止や在宅勤務推奨などの措置に踏み切り、テレワークを導入する企業が一気に増えた。Slackなどのチャットツールや、Zoomなどのビデオ会議ツール導入による働き方改革の流れは今後も進むだろう。

面と向かってのコミュニケーションは五感をフルに使い、実は無意識のうちにたくさんの情報や感情をやりとりし合っている。それがチャットツールで文字やスタンプのみに限定されると、やりとりできる情報は質量ともにぐっと限定される。

どこにいても仕事ができる、と歓迎される一方で、懸念されるのは意思疎通が不十分になることによる誤解やトラブル、ビジネスへの悪影響である。場合によっては人間関係が悪化する可能性もある。

筆者自身前々職、前職、現職で5年ほど前からSlackなどのチャットツールを使ってきた。効率的に感じることも多いが、ディスコミュニケーションやトラブルも少なからず経験した。

テレワークに欠かせないチャットツールで不快感や誤解を与えず、効率的かつスムーズに仕事を進めるために、心がけておきたいポイントを以下10点にまとめてみた。職場やコミュニティごとに状況や使い方は千差万別だが、ひとつの議論の材料にしてもらえると嬉しい。


1. 親しき仲にも礼儀あり。できるだけ敬語を使う。


面と向かってニッコリ笑い、「あれ、どうなった」と尋ねるのと、文字だけで「あれ、どうなった」では、与える印象が違う。受け手によっては発信者の厳しい表情を想像する場合もある。

テキストだけのコミュニケーションで対面同様の「伝わる」を実現するのは困難である。自ずとチャットツールでのテキストのやりとりは丁寧にならざるを得ない。親しき仲にも礼儀あり。伝わらなさや誤解をできるだけ防ぐために、まずは敬語の使用を心がけたい。 チャンネル上でのやりとりは投げかけた相手だけでなく他者も同時に見ている。あまりにカジュアルすぎる物言いは、思わぬ誤解を与える可能性がある。

「例の件、進捗はいかがでしょうか」だと、普段の関係性によっては多少の冷たさを感じるかもしれないが、「あれ、どうなった」よりは丁寧さを感じるのではないだろうか。

2. 相手の状況を一瞬想像する。時間外、休日は「前置き」を。


いつでもどこでもメッセージを送ることができるからといって、相手がいつでもウェルカムとは限らない。デスクを並べて仕事をしていれば相手がどれだけのタスクを抱えているかは一目瞭然だが、それぞれが別々の場所でテレワークをしていたら個々の仕事状況は見えづらい。

職場なら「これ、やっといて」で済むかもしれないが、テレワークでは相手の状況を想像したり、実際に現在の状況を尋ねたりしながらコミュニケーションをしたい。

特に業務時間外や休日の発言や発信には留意が必要だ。自分の都合の良いタイミングであったとしても、人にとっては「業務時間外なのに…」とストレスを感じる可能性がある。業務時間外は不要不急の発信は避けるか、「休日に失礼します。休み明けにご確認くださいね」などと前置きをした上で投げかけたい。

3. まず反応する。スタンプや絵文字を駆使する。


チャットツール上で提案や質問を発する側や、業務を依頼する側は、相手や周囲に何らかの反応を求めている。長い間反応がないと、その間、投げかけた側はやきもきしながら過ごすことになる。

同意なのか、不同意なのか、承諾するのか、拒否するのか、可能なのか、不可能なのか、そもそもその投稿を見たのか、まだ見ていないのか。

まずは「確認」「賛成」「承知」といったことだけでもスタンプや絵文字で反応することを習慣づけたい。既存のスタンプに加え、コミュニティ内で盛り上がるようなカスタムスタンプを新たに作成し活用するのもありだ。

4. 悪口、陰口、ゴシップは水面下で拡散される。


「あの人、SlackのDM(ダイレクトメッセージ)でこんなこと送ってきたんだけど」と、スマホの画面を見せられたことのある人は少なくないのではないだろうか。自分の知らないところでSlack上で陰口を言われていた。そんな人もいるだろう。

文字に残ってしまうチャットツール。同僚や所属先、取引先に対する悪口や陰口、ゴシップなどネガティブな発言は極力控えたい。パワハラ、セクハラ発言はもってのほかだ。

スーツケースに特化したラゲージブランド「アウェイ(Away)」の共同創業者のステフ・コーリーが、Slack上での発言などを巡ってCEOを辞任したのは記憶に新しい。社員間での限られたやりとりのはずが、社の信用を揺るがすほどの公の事態に発展してしまったのだ。

個人同士でメッセージを送り合えるダイレクトメッセージや、参加者を絞ったクローズドチャンネルであっても、一度発信されたメッセージはテキストとして残ってしまう。

後で思い直して削除や編集をしたとしても、すでにスクリーンショットが撮られた後かもしれない。そしてその発言はどこかで拡散されているかもしれない。

5. 完全にクローズドなチャンネルはない。オープンチャンネル同様の発言を。


会話を閲覧・参加できる人を限ったクローズドチャンネルを、チーム内や仲の良い同僚同士のコミュニケーションに活用するケースも多いだろう。しかし4の言及同様、クローズドチャンネルでのやりとりであっても、スクリーンショットなどで拡散されてしまう可能性は常につきまとう。

また忘れがちなポイントが、たとえクローズドチャンネルであっても、他のメンバーが新たなメンバーを追加可能であり、新たなメンバーであっても過去のやりとりを遡って見ることができるということだ。

「このメンバー内だったらここまで言っても良いだろう」と思って発言したつもりだったのに、半年後、知らないうちに他のメンバーがそのチャンネルに上長をインバイトしていた。参加した上長が思わず過去のやりとりを見てしまった。その結果、上長に共有するにはあまりにカジュアルな会話が明るみに──。

このような悲劇が起きないためにも、後々誰に見られてもおかしくない、オープンチャンネル同様の発言を心がけたい。

会話の内容やカジュアルさだけの問題ではなく、情報や機密の管理も十分に気をつけたい。
次ページ > 長文メッセージは、ただでさえプレッシャーである

文=林亜季

タグ:

連載

新型コロナウイルス特集

ForbesBrandVoice

人気記事