誰でも、どこでも感染する可能性があるこのウイルスが引き起す症状の程度や死亡のリスクは、性別や年齢といった人口統計学的な要因によって大きく異なる。そうした違いについて、これまでに報告されているのは次のようなことだ。
高齢者の致死率が高い
武漢市内で今年2月11日までに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された人は4万4672人だった。この時点での死者数が1023人であったことから、致死率は2.3%となる。
COVID-19を発症した80歳以上の患者は1408人で、そのうち死亡したのは208人。致死率はおよそ15%となった。一方、0~9歳の感染者は416人、死亡者はゼロ。10~19歳では感染した549人のうち、死亡したのは1人だった。
慢性疾患のある患者が重症化
感染者のうち、高血圧や糖尿病、心臓病、慢性肺疾患、がんなどその他の疾患を合併する人は、約5000人だった。これらの人たちの致死率は疾患によって異なるが、およそ5〜10%。一方、基礎疾患がないおよそ1万5000人の感染者の間では、致死率は1%未満だった。
重症化するのは主に男性
米紙ニューヨーク・タイムズが2月下旬に報じたところによれば、感染者の男女比はほぼ1:1(男性が51.4%)であるにもかかわらず、男女の致死率には大きな差がある。男性は2.8%、女性は1.7%だ。そして、この比率はどの年齢層にも当てはまる。
また、いずれも新種のコロナウイルスが病原体のSARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)に関するデータを見ても、致死率は男性の方が高くなっている。
マウスを使った実験でも、オスの方が感染しやすいことが確認されている。さらに、メスのマウスから卵巣を摘出、またはエストロゲン(女性ホルモン)の分泌を阻止すると、感染の確率と致死率はどちらも高まったという。エストロゲンには感染を妨げる性質があるとみられており、新型コロナウイルスについても、この点に関する研究が行われている。