エストロゲンのほか、女性には免疫機能に関連した遺伝子を含むX染色体が1本多いことも、こうした生物学的差異と関連があるのではないかとみられている。
患者の生活環境の点からみると、慢性肺疾患は罹患率とその疾患による死亡率が喫煙と関連している場合が多い。SARSやMERS、COVID-19などの感染症の場合、その関連性は特に高い。
世界の喫煙者のうち、3分の1は中国に住んでいる。そして、中国人男性の半分以上に喫煙の習慣がある。一方、中国人女性のうち、喫煙する人はわずか2%程度だ。
社会的健康(他人や社会との健全な関係)の観点からみても、女性の方が早く医者にかかる傾向がある。疾患のどの段階にあっても、男性より早期の診断と治療の開始が可能になるということだ。
さらに、手を洗うことによって感染の拡大を完全に防ぐことはどの感染症でも不可能だが、感染のリスクを低減させることはできる。いくつかのデータから、男性がせっけんで手を洗う回数は、女性に比べてはるかに少ないことが分っている。トイレから出てきたばかりの男性に握手を求められたときのためにも、覚えておきたいことだ。
各国の保健当局が、高齢男性の診断と治療開始を特に急ぐべきであると認識しておくことが、感染拡大の抑制に向けた対策において何らかの役に立つかもしれない。