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東京慈恵会医科大学教授

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Perfumeの東京ドーム公演中止、EXILEの京セラドーム公演中止と大型イベントの急遽中止が相次ぐ。新型コロナウイルスの影響から政府の要請に答える形での中止であった。しかし、その効果に懐疑的な意見も多く見られる。

予防医学の専門家である東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳が、政治主導の対策と感染症の流行について、過去の事例データを元に分析した。

この記事では、スペイン風邪(新型インフルエンザ)流行時の政府による医療行為以外の介入に関する疫学データを分析し、本来日本政府がとるべき行動はどうだったのかを考察する。

ここで注意したいのが、スペイン風邪と新型コロナウイルスは、その症状も感染力も異なるということだ。ある時期に急速に広がった感染症の一例として比較していることを念頭においてほしい。

 スペイン風邪にみる感染拡大防止策


2020年2月25日、政府は国内の拡大防止策の目標を掲げた(図1)。この図で注目したいのは、「流行のピークを下げ」、「患者の増加スピードを抑える」と書かれていることである。


図1 出典:厚労省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

スペイン風邪は1918年に発生した悪名高い新型インフルエンザのパンデミックで、死者数は世界で2千万人とも1億人ともいわれている。当時ヨーロッパでは第一次世界大戦の真っただ中で多くの国の人々が混ざり合い、感染が世界に広がった。まだ抗インフルエンザ薬もなければワクチンもない時代である。よって、このときの対策を分析することは、まだ特効薬の見つかっていない新型コロナウイルス感染症への対策の参考になるのではないか。

各都市の対応の差と流行の関係


2007年、米国CDCがアメリカ医師会誌に報告したデータによると、スペイン風邪の流行時の1918年9月8日から19年2月22日までの24週間、43都市において、累計115,340人(10万人あたりおよそ500人)のインフルエンザおよび肺炎による超過死亡があったと推定される。(編集部注:超過死亡とは、インフルエンザ等の流行時、死亡者数を平年の同じ時期の死亡者数と比べて上回った数のこと)

どの市も患者隔離、学校閉鎖、集会やイベントの禁止などの少なくとも1つの医療行為以外の介入をとっている。そして対応をしっかりやった都市ではスペイン風邪超過死亡が数分の1に抑えられたことを突き止めた。


図2 超過死亡率と対応する流行フェーズの変遷を表したグラフ

各都市同年同週の10万人あたりのインフルエンザあるいは肺炎による超過死亡率が、平年の2倍を超えた時点を流行開始とする。流行開始から集会・イベントの禁止などの介入までの日数(図中緑ライン)、すなわち早期介入の効果を、感染ピークの1週間人口10万人当りの超過死亡率(縦軸)、および流行開始からピークに達するまでの日数(図中紫ライン)で効果判定している。同時に、介入の種類、その徹底度の効果についても検証している。

文=浦島充佳

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