同社は2月18日、飽和状態の小売市場では成功が望める状況にないとして、物品販売事業から撤退する計画を明らかにした。アメリカでは第3四半期までに撤退を済ませ、全世界でも2020年内に同事業を終了する。
米グルーポンのリッチ・ウィリアムズ(Rich Williams)最高経営責任者(CEO)は声明でこう述べた。「体験の購入行動がオンラインへと移行していくなかで、当社は物品(販売)から撤退する計画により、市場トップの地位を確立するために必要なリソースを重点的に投入し、集中して取り組むことが可能になると確信している」
シカゴに本社を置く米グルーポンは、すでにワインのテイスティングやマッサージ、ダンスのレッスンといった体験の割引サービスを提供している。今後はこの分野を、同社の中核事業としていくという。同社は、体験に関する市場には1兆ドル(約110兆7000億円)の規模があると推計し、自らが市場でトップだとうたっているものの、実際の市場シェアは1%未満にすぎないと認めている。
こうした体験を提供する事業に注力することで、2022年までに1ケタ台なかばの売上成長率を実現し、同時に経費を削減できると、米グルーポンはうたっている。メリッサ・トーマス(Melissa Thomas)最高財務責任者(CFO)は、以下のように述べる。「ある程度の規模を確保すれば、当社が掲げる収益モデルの可能性を解き放ち、売り手を、ロイヤルティが高く参加意識が高い顧客と結びつける、最大の両面市場(性質が異なる2種類の参加者をプラットフォームでつなぐビジネスモデル)を構築できる。こうした顧客は世界中で、地元で味わえるほかにはない体験を探している」
物品販売事業からの撤退という決断は、またしても振るわない内容となった四半期決算を受けて発表されたものだ。今回の決算で、売上は前年同期比23%減となる6億1200万ドル。ウォール街のアナリストによる予想平均の7億900万ドルを下回った。この間、物品販売事業の売上は前年同期比で32%マイナスとなり、全体の足を引っ張った。
純利益は7700万ドル、1株あたり13セント。前年同期の4620万ドル、1株あたり8セントと比べて上昇した。とはいえこれも、アナリスト予想を1株あたり2セント下回る数字だ。
米グルーポンの株価は、時間外取引でマイナス25%と急落し、2.28ドルの値をつけた。かつては株価が高騰し、創業者のエリック・レフコススキー(Eric Lefkofksy)とブラッド・キーウェル(Brad Keywell)の両氏は巨額の富を築いたが、近年は株価が低迷。2011年の公開時と比較すると、株価は当時の1割にまで落ち込んでいる。さらに同社は18日、株式併合を計画していることも明らかにした。株式併合には、株価を押し上げる効果が期待される。