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現場からの医療改革



Tang Yan Song / Shutterstock.com

水際対策に意味があるのは、国内で感染が広まっていない場合に限られる。もし、すでに国内で新型コロナウイルスが拡散しているのなら、このような対策に意味があるとは思えない。

ダイヤモンド・プリンセス号船内で感染が急拡大したように、満員電車による通勤や通学が常態化している日本では、新型コロナウイルスが一気に拡がる怖れもあるだろう。

国立感染症研究所感染症情報センターの研究者たちは、2008年に鉄道を介した新型インフルエンザの拡散をシミュレーションしている。首都圏の鉄道に1人の新型インフルエンザ感染者が乗れば、5日目に700人、10日目には12万人に拡大すると予想している。こうなってしまうと水際対策の意味はますますなくなる。

12月の中旬には中国の武漢でヒト・ヒト感染が起こっていたことが確認されている。日本で水際対策が強化されたのは1月中旬だ。約1カ月間、無防備な状態であったことになる。

2月4日、タイ保健省は、1月下旬に日本に旅行した夫婦が新型コロナウイルスに感染していたと報告した。日本滞在中に体調が悪くなったらしい。この夫婦の存在は、日本国内ですでに新型コロナウイルスが拡がっていたことを意味する。極めて重要な情報だが、日本のメディアではほとんど報じられていない。

現在のさまざまな状況を考慮すれば、日本国内で新型コロナウイルスの拡散が始まっていると考えるのが妥当だ。

動物と人の距離が近く、野生の動物を食べる習慣がある中国では、新型コロナウイルスだけでなく、鳥インフルエンザ、SARSなど新型感染症が繰り返し発生してきた。中国の経済発展が続けば、ますます日中の交流は盛んになる。今回のようなケースは今後も想定できるはずだ。現状に即して、検疫体制の変更を考慮する時期に来ていると考える。

感染を防ぐとともに、旅行者の健康をケアするような合理的なやり方を考えねばならない。

新型コロナウイルスの場合、感染者あるいは濃厚接触者は、自宅での療養、頻繁に行う遺伝子検査、そして体調のチェックが理に叶っている。感染しても無症状あるいは軽症なら、在宅での勤務も可能だ。このやり方なら、患者の健康やQOLを維持しながら、感染の拡大を防ぐことができるはずだ。

連載:現場からの医療改革
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文=上 昌広

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