韓国で25万部のヒット本『あやうく一生懸命生きるところだった』の中身とは?

ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』

40歳を目前にして会社を辞め、「一生懸命生きることをあきらめた」著者のエッセイが、韓国で売れに売れている。現地で25万部を突破し、「2019年上期ベスト10」(韓国大手書店KYOBO文庫)、「2018年最高の本」(ネット書店YES24)に選ばれるなど注目を集め続けているのだ。

その本のタイトルは、『あやうく一生懸命生きるところだった』。日本でも東方神起のメンバーの愛読書として話題になったし、現地では、「心が軽くなった」「共感だらけの内容」「つらさから逃れたいときにいつも読みたい」と共感・絶賛の声が相次いでいる。

そんなベストセラーエッセイの邦訳には、シンガーソングライターで写真家の有安杏果さんが「人生に悩み、疲れたときに立ち止まる勇気と自分らしく生きるための後押しをもらえた」と推薦コメントを寄せているが、ここではその日本版から抜粋するかたちで、仕事へのモチベーションについて書かれた項目の一部を紹介する(第一回)。


強要されて絞り出すモチベーションは長続きしない


「自分の仕事にやる気が持てなくて、心配です」

インターネットの悩み相談でよく見かける文句だが、よく考えてみてほしい。この悩みはちょっとおかしい。これはつまり、好きでもない人を目の前にして「私、どうしてあなたのことを愛せないのかしら?」と悩むようなものだ。

どんなに努力したって、愛せない時点でその人は恋愛対象じゃない。

仕事だって同じだと思う。やる気の根底には愛情がある。やりたくないなら当然やる気も起きない。やる気コンテンツに触れて、瞬間的に意欲が湧いても長続きはしない。それに、ムリにやる気を作り出すときは、たいてい自分以外の誰かが望む仕事であるケースがほとんどだ。

やる気とは自ら作り出すものであり、誰かに強要されて作り出すものでは絶対にない。やる気は愛だ。その仕事を愛することからやる気は始まる。もちろん愛そうと努力した結果、好きになることもまれにあるが、あまりおすすめしたくはない。

そもそも、やる気がなくたってかまわないだろう。やる気がなくても十分働ける。好きでやる仕事もある一方、ほとんどはお金を稼ぐためにある。労働の対価としてお金を受け取っているのだ。それなのに、やる気まで要求されるなんて、会社はちょっとほしがりすぎじゃないか。

湧き出しもしないやる気をムリに作り出すこと自体がストレスだ。ないならないなりに、目の前の仕事をこなせばいい。そのうち好きになってくるかもしれないし、ほかにやる気を出せる仕事が見つかるかもしれない。そのときに、やる気を注ぎ込めばいい。



やる気はすり減る


とはいえ、やる気とはいいものだ。自分のために使うならば。だから自分が何かに熱中しているときは、その気持ちは自分のためなのか、それとも他人のためなのかをよく考えてみる必要がある。

知る限りでは、やる気とはそれほど頻繁に生まれるものでも、持続可能なものでもない。やる気はすり減る。だから、むやみに使うと本当に必要なときに使えなくなる。やる気を絞り出し、むやみに使ってはいけない理由はそこにある。

いつかはやる気を注ぎたくなる仕事に出合えるはずだし、そのときのために自分のやる気を大切にしよう。やる気がないだの、あるだのという言葉には決して踊らされないように。自分のやる気は自分がコントロールしよう。

(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』からの抜粋です)

ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』からの抜粋

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