ビジネス

2020.02.06

「ギャル」に目をつけた共感マーケの先駆者が語る、これからのエンタメに必要な視点

TWIN PLANET代表取締役 矢嶋健二

共感、親近感、ファンとの信頼関係……。ここ数年、SNSの普及によりマーケティングのスタンダードになったキーワードだが、このトレンドを10年以上前から予感していた男がいる。総合エンターテインメントグループ、TWIN PLANET(ツインプラネット)の代表取締役を務める矢嶋健二だ。

小森純や鈴木奈々、インスタグラムで話題のファッションアイコン「よしあき、ミチ」姉弟、人気ユーチューバーの「おおしま兄妹」など、若者の支持を集めるタレントが所属する芸能事務所のイメージが強い同社。しかし、ルーツはIP(intellectual property=知的財産)を活用したマーケティングにあり、現在でも事業の支柱となっている。

最近ではPCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案とする2.5次元作品、舞台『刀剣乱舞』とミュージカル『刀剣乱舞』がコラボレーションした「刀剣乱舞 2.5Dカフェ」やクリエイタープラットフォーム「pixiv」のギャラリー「pixiv WAEN GALLERY by TWIN PLANET」を仕掛けた。

矢嶋は同社の活動について「世間のトレンドの裏側に、実はTWIN PLANETがいることが多いかもしれません。これまで無骨に行ってきたIPマーケティングのノウハウは、タレントマネジメントに活かされています」と自信を覗かせる。

IPマーケティング会社にして、芸能事務所。その独特なビジネスモデルは如何にして醸成されたのか。そして、同社が現代において、共感を得るタレントを輩出できているのはなぜか。10年以上前から「共感マーケ」にベットし続けた叩き上げの社長に、その理由を聞いていこう。

曖昧なものに価値を付け、ビジネス化する


矢嶋がツインプラネットを設立したのは2006年、26歳の時。当時は同社を「カルチャーブランディングカンパニー」と銘打ち、渋谷、原宿といった若者が集まる市場に特化したマーケティングを行っていた。

そんななか、最初に目を付けたのが「ギャル」の存在だった。

「創業当初から、単なるマーケティング会社ではなく、市場を作るプレイヤーになりたいと思っていました。そのために必要だと考えたのが、“曖昧なもの”にラベルを貼り、価値をつけ、ビジネスにすること。誰もが値付けできない商品の価値を見出していければ、ビジネスを作ることができると考えていました。そのなかで着目したのが、女子高生マーケの“周縁”にいた『ギャル』という存在です。

今ではみちょぱさんやゆきぽよさんなど、メディアではよく見る存在ですが、当時、ギャルは学校のはみ出し者のような認識で、マーケティングの対象ではありませんでした。しかし、女子高生のトレンドを調べていくと、その源流には渋谷や原宿のギャル文化が存在している確率が高いことを発見したんです。ギャルを『若者トレンドの発信源』としてブランディングすることができれば、新たな市場を作っていけると考えました」


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文=半蔵門太郎 写真=小田駿一

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