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「私たちがスタンフォード大学の講座や著書、ワークショップで提供しているライフデザインの手法は、大きな飛躍ではなく小さな一歩を積み重ねていくもの。日本の読者からも『他のライフデザインに関連する本は難解なものが多いけれど、この本はすぐに取り組めて、すぐに成果が出始めるから希望が持てる』と評価をしてもらっています。希望を持ってもらうこと、実行しやすいことが重要なので、これはうれしい感想ですね」

このライフデザイン手法は、すでにキャリアを積み上げた世代や高齢者にも有効だという。アメリカの80代の女性が新たな人生をスタートした実例などを聞いて、はたと頭に浮かんだのは、こんな質問だった。

今後のライフデザインを人生をゼロに近い段階から、つまり、ほぼスクラッチから始められる子どもに対して、日本の大人は何をしてあげるべきなのだろう。

「子どもに限らず、ライフデザインの鍵となるのはクリエイティビティです。これは従来の学校教育ではなかなか培われません。子供たちにまず触れてほしいのはアートです。そして、見て楽しむだけでなく、自分で造る体験もさせてあげてください」

与えられた課題を解決するのではなく、まず課題そのものを見つけ出す。答えのある問題を解くのではなく、まだ答えが見つかっていない問題に取り組む。

そうした創造性こそ、ライフデザインの大きな柱であり、また、AIが多くの仕事を代行できるようになる時代を生きるヒトにとって欠かせない要素になるという。

「スタンフォードでは子供の教育法の一貫として、数学や科学(算数や理科)のような教科でもクリエイティビティを重視した手法が研究され、実践もされて、大きな成果を生んでいます。日本の親たちにも、既存の学校教育で子供を枠に押し込めるようなやり方ではなく、子どものクリエイティビティを伸ばす教育に力を入れてほしいと思います」

他人のつくった生き方の枠に収まるのではなく、自分の生き方を自分でつくり出していく。それは、子供だけでなく、大人にこそ求められているライフデザインのありようだろう。


ビル・バーネット◎スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター。同大でプロダクトデザインの修士号を取得した後、プロダクトデザイナーとしてアップルのパワーブックやハズブロの「スター・ウォーズ」フィギュアのデザインなどを手がける。ライフデザイン・ラボの共同創設者でもあり、現在は毎年約100人の学生を指導している。

文=岡田浩之 写真提供=Creative Live

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