「一部の都市では行政との対話が不足している。1社ではなく複数の企業が団結し、行政と話し合いの場を持つことが必要だ」とベルリン本拠の「TIER Mobility」のPhilipp Haas副社長は述べた。
フォーブスがベルリンで開催した「30アンダー30」サミットに登壇したHaasと、ライバル企業「Voi」の共同創業者兼CEOであるFredrik Hjelmは、共に対話の重要性を説いた。ライバル同士がしのぎを削るマイクロモビリティ業界で、こうした融和ムードは珍しい。
米国のライバル企業は莫大な評価額で多くの資金を調達しているが、サミットでHaasとHjelmは米国企業との違いを強調した。
Hjelmによると、ストックホルムに本拠を置くVoiは2018年11月に初めて外部投資家から資金を調達したが、それまでは自己資金で事業を運営してきたという。同社はこれまでに1億3600万ドル(約150億円)を調達している。
「調達した資金の額と売上高の比率を見れば、我々が米国企業の4〜8倍も資金効率が高いことがわかる。資金効率とサステナビリティに優れた企業が勝ち残るだろう」とHjelmは述べた。
TIERもVoiも、資金力では米国企業に劣るが、迅速に差別化を図っている。Haasは、米国企業の多くはハードウェアの専門性がない上に、資金を浪費し過ぎだと指摘する。
「米国企業が展開しているキックボードの寿命が3〜4カ月しかないのは公然の秘密だ。そのようなやり方ではビジネスは長続きしない」と彼は語った。
TierとVoiは、セコイア・キャピタルらが資金を注ぐ米国のBirdのように何億ドルも調達している訳ではないが、欧州でも電動キックボード企業の評価額は高騰している。
Tierは、10月にアラブ首長国連邦の政府系ファンドから6000万ドルを調達している。同社にとって、アブダビは欧州以外でサービスを展開する唯一の都市だ。サミットでは、地元ベルリンのVCであるCherry VenturesのMarguerite de Tavernostが、マイクロモビリティ企業に投資することの難しさについて語った。