今の「人工的な好景気」は、近いうちに終わりを迎える

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永遠に続くものなど、何もない。債務すら、そうだ。借主は誰でも、最終的には借金を返済するか、債務を履行しないかのどちらかだし、債務不履行について貸主が救済措置を受けられる場合もあれば、ない場合もある。だがいずれにせよ、それで債務はなくなる。

西洋文明における最大の問題のひとつは、債務が永遠であり得ると思い込んでいることだ。もちろん実際にそう口に出すことはないが、行動に出しているし、政府の債務が増え続けている理由もそこにある。

私たちは、借金の返済を上回るペースで借入を行っている。中国やアメリカをはじめ、あらゆる国の政府がそうだ。国の指導者たちには、債務をなくすどころか減らすための本格的な計画さえない。彼らはただただ、永久に金を使い続けたいと考えており、多くの市民もそれでいいと思っている。

その結果として、2020年代後半は、ある種の世界的な破産状態になると私は考えている。実際にその状態を破産と呼ぶことはないだろうし、管轄の裁判所も存在しないが。

だが私たちは、今のままの状態を続けていくことはできないと気づくようになり、それに終止符を打つ方法を見出すだろう。私はそれを「グレート・リセット」と呼ぶようになった。このグレート・リセットが終われば、今よりもっとずっといい世界が待っているはずだが、そこに到達するまでの道のりは険しい。

人工的な好景気

10年間に及ぶ救済支援や量的緩和、ゼロ金利政策などの措置は、全ての人に低迷からの回復を促すものだったし、実際にそうなった。レイ・ダリオはリンクトインへの最新の投稿の中で、これを次のように説明している。

「投資家は潤沢な手元資金を持っているし、過去には革命的なテック企業の株価が大幅上昇した成功の記憶もある。そのため今は、ドットコム・バブル以来で最も多くの企業が、利益を上げなくても、あるいは利益確保のための明確な手段を持ってさえいなくても、株を売ることができる。資金も借入能力も十分にある投資家たちに夢を売れば、株も売れるからだ。

今は、そうした夢を買いたがっている資金があまりにも豊富にある。既に十分すぎる資金を持ち、それ以上の資金を求めていないスタートアップ企業に対して、ベンチャーキャピタル投資家が資金を押しつけるケースもある。投資家たちはこれらの企業に、自分の投資を受け入れないなら、競合のスタートアップ企業に多大な支援を提供して打撃を与えてやると脅している。
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翻訳=森美歩/ガリレオ

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