多くの研究が、人と人をつなげるというソーシャルメディアの意図された効果が必ずしも現実にはならないことを報告してきた。ソーシャルメディアは、むしろ人に孤立感や寂しさを感じさせたり自己嫌悪に陥らせたりして、実際は真逆の影響を与えてしまいかねない。
グラスゴー大学が先日、英医師会雑誌(BMJ)のオープンアクセスジャーナル「BMJオープン」に発表した新たな調査では、ソーシャルメディアを長時間、あるいは非常に長時間使用する10代の若者の夜間の睡眠の質は、複数の基準において低いことが明らかになった。
これは意外なことではないかもしれない。しかしこの調査は、特に10代の若者など最も睡眠を必要とする人の間で技術が睡眠サイクルにもたらす影響を浮き彫りにしたものだ。
研究チームは、長期にわたる英国ミレニアルコホート調査に参加していた13~15歳までの1万2000人近くの参加者から集めたデータを分析した。調査対象者は、1日に何度フェイスブックやツイッター、ワッツアップを利用するかなどソーシャルメディアの使用に関する習慣を含め、生活様式に関する複数の項目を報告している。(なお、データが2015年のものであることは制約として考慮すべきかもしれない)
調査の参加者はまた、平日と週末の睡眠時間(就寝・起床時間)や眠りにつくまでにかかる時間、就寝中に目覚めた際、再び眠るのに苦労するかなどを報告した。
調査の結果
10代の若者らがソーシャルメディアに費やしていた時間の内訳は興味深いものだった。1日に1~3時間をソーシャルメディアに費やすと答えた人の割合は32%を少し下回った。これは、研究者らが平均的な使用時間と考えるものだ。1日のうちのソーシャルメディアの使用時間が1時間以下の使用度が低いユーザーは34%ほどだった。
一方、1日のうち3~5時間をソーシャルメディアに費やす使用度が高いユーザーは14%ほどで、5時間以上をソーシャルメディアに費やす非常に使用度が高いユーザーは21%ほどだった。
先述のように、睡眠の質はソーシャルメディアの使用と反比例していて、1日のうちのソーシャルメディアの使用時間が長い人ほど、さまざまな測定基準において睡眠の質が低いことを報告していた。
ソーシャルメディアの使用時間が非常に長いユーザーは平均的な使用者と比べ、平日の夜は11時以降、休日の夜は12時以降に眠りにつく可能性が70%高かった。また、こうしたヘビーユーザーは、目が覚めた後に再び眠りづらいことがあると答えることが多く、ソーシャルメディアの使用が多い人や非常に多い人は、平均的な人と比べて平日遅い時間(午前8時以降)に目覚めることが多かった。